としおの読書生活

田舎に住む社会人の読書記録を綴ります。 主に小説や新書の内容紹介と感想を書きます。 読書の他にもワイン、紅茶、パソコン関係などの趣味を詰め込んだブログにしたいです。

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2月22日に今村夏子さんの新しい短編集『父と私の桜尾通り商店街』が発売されたのでさっそく読んでみました。

今村夏子さんといえば、平凡な日常の風景を描いていると思っていたら、少しずつ日常から外れていく作品を書くことで有名です。本書も今村夏子さんらしい良さがでている短編集となっていました。

以下、各短編の感想や考察を書いていきます。ネタバレもあるので未読の方は注意してください。


感想と考察(ネタバレあり)

白いセーター


白いセーターは、人にものを伝えるのが苦手な結婚前のカップルの様子をえがいている作品ですが物語の中にいくつか奇妙な展開がありました。


1. どうして陸は教会で突然叫びだしたのか

陸は教会でドアが開いたときホームレスが入ってきたわけでもないのに「でていけー」と叫びました。

どうして叫んだのか私なりに考えたのですが、陸にはホームレスという言葉が理解できておらずドアが開いたときに腐ったチーズのような香りを感じて反射的に言ったのではないのだろうか。

ではどこから臭いがしたのかというと私は由美子が着ていた白いセーターが臭かったのではないのかと思う。これはあくまで個人的な妄想も含むが「白いセーター」は序盤からセータに臭いがつく描写を意識している場面が多いことから、なんとなくずっとタンスに入れっぱなしであったセーターが臭くなっていたのではないのだろうか。


2. 鏡のように動くホームレス

物語後半でゆみ子の動きにあわせて鏡のように移動してくるホームレスがいた。これはゆみ子自身も鏡のように動いていると感じる点から、ホームレス側もゆみ子が鏡のように自分の動きを真似しているように感じるだろう。

その結果、ぶつかりそうになりホームレスは怒って「どけ」と言ったのではないのだろうか。


白いセーターを読んで思ったのは、一人だけでもいいので自分のことを理解してくれる人がいるのは生きていくうえでとても大切なことなんだろうな。ゆみ子でいう伸樹みたいな人間を私も見つけたい。


ルルちゃん


「ルルちゃん」も平凡な風景が続いている思うと突然奇妙な場面が現れる。

安田さんは、旦那はいつも8時過ぎの決まった時間に帰ってくると言っていたのにヤマネが訪れた日にはどうして帰ってこなかったのだろうか。

帰ってこなかった理由として、普段は飲み会などに参加しないがその日だけたまたま何かをしていて遅くなった、そもそも安田さんには夫がいなかった、少し前に離婚してしまったなどという理由をあげることができる。

しかし、私は安田さんが何らかの理由でかっとなり夫を殺してしまったのではないのかと思う。安田さんの家でヤマネが食べたカレーに入っていた特大の骨付き肉は旦那の肉だったのではないのだろうか。

ヤマネは普段あまり食に関心がないこともあり、安田が披露してくれたカレーを味もよく分からないが具材から勝手にチキンカレーだと判断したのではないのだろうか。それに、もし普通のカレーだとしたら食事に招待するぐらいなので安田も一緒に食べるべきだろう。

また、安田は普段図書館で会った時と比べるとおしゃべりであったことからも、しゃべってないと落ち着かないような出来事があったと考えられる。

このことから私は安田は夫を殺して、それをヤマネに食べさせて処分しようとしたと考える。

また、ルルちゃんという人形を大切にしているのもなんだか不気味だ。人形を子どものように感じる安田は情緒不安定な人間のように感じる。それを持ち帰るヤマネもヤマネだが…。




ひょうたんの精


「ひょうたんの精」は今までの物語と比べると不気味というより不思議な話。

なるみ先輩のお腹に住み栄養を吸収する七福神が実際に存在したかはなるみ先輩にしか分からないが、この物語の語り手であるマネージャーはなるみ先輩の話を信じており、なるみ先輩から伝えられた通りの内容を後輩のマネージャーに話している。

もし本当になるみ先輩の話がすべて真実だとしたら、なるみ先輩が天井に向かってひょうたんの苦手な虫の名前を叫ばなくなったら、チアリーディング部の部員たちはひょうたんに吸い込まれてしまうのだろうか?


せとのママの誕生日


「せとのママの誕生日」はスナックせとのママにお世話になった元バイトたちがママの誕生日を祝うために集まった物語。これだけを聞くとすごく平和そうな物語だが個人的には今回の短編集で一番怖い話だった。

そもそも、アリサ、カズエ、わたしがスナックせとを訪れた時点で本当にママは生きていたのだろうか。物語のはじめと終わりで二回わたしが目を広げた瞬間ママの瞳孔が縮んだと言っているがこれはわたしの主観であるため本当に瞳孔が縮んだのを確認できたのかが分からない。

しかも、スナックせとの現状を考えるとカギも壊れておりガラス戸が割れていているためこんな場所で生きている人間が住んでいるとは考えにくい…。

また物語の終わりの方で、今までのバイトたちが失った彼女たちの武器である体の部位をどんどんママの体につけていく場面がある。まだアリサのデベソやカズエのチクビの話は物語を読んでいる限り分からなくもないが、アカリの舌、ナナコのあごなどがどういった経緯で失ったのかが非常に気になる(舌や頭蓋骨を本当に失っていたらしんでいそうだが)。

なんか最初から最後までよく分からないが恐怖しか感じられない物語だった。


モグラハウスの扉


「モグラハウスの扉」は『父と私の桜尾通り商店街』のために書き下ろされた作品です。

モグラさんが子どもたちに冗談でマンホールの中にはモグラハウスがあると言っている、序盤はすごくかわいい物語なのだが、みっこ先生がモグラさんに恋したあたりから不穏な空気を感じ始める。

そもそも、みっこ先生はマンホールの下になにを見たのだろうか?

みっこ先生が一度目にマンホールの下に入ったときモグラハウスがあると言っていた。この時点ではモグラさんや子どもたちの夢を壊さないために嘘をついている良い先生の感じた。二度目にお箸を落として取りに行ったときはお箸が見つからず、服が汚れた状態で出てきた。この時点で読者からするとやっぱりモグラハウスってないんだなとなる。

10年以上のときがながれ再び主人公であるわたしとみっこ先生が再開する。再開後、町中が雨で冠水しマンホールのふたがあがっているという話になる。わたしがたまたま拾ったみっこ先生が落とした箸をみっこ先生に見せると、みっこ先生はモグラハウスの心配をはじめる。

読者の中でこの場面を読むまでモグラハウスは実在しなかったという認識であったのに、みっこ先生の様子から実は存在したのかもしれないと認識が変化する。

モグラハウスが本当にこの世界に存在していたのかは分からないが不思議な話だ。主人公もモグラハウスを信じ続けていると小学生のまま大人になりきれていないような気がする。




父と私の桜尾通り商店街


最後は本作の主題となっている物語。

商店街からつまはじきにされているパン屋で、"私"がコッペパンをサンドイッチにして販売しだしたところ、徐々に人気を集めていったという物語。

この物語には二つのパン屋がでてくるがそれらは対照的だ。主人公の"私"と父が経営するパン屋は商店街の住民から嫌われているが、新しく商店街にやってきた女性が経営しているパン屋は商店街の人たちから好かれている。

"私"はこっそり商店だよりであるさくらお通信を読んでいることから、仲が良い商店街の人たちに憧れていることが分かる。

サンドイッチが売れ出したことで、商店街の住民と"私"が仲良くなるチャンスがやって来たが、コッペパンを作っていた父が倒れた場面で物語は終わってしまう。

コッペパンを作れない"私は"父が倒れた後、商店街に馴染むことができたのかが気になるところだ。

私はこの主人公には、新しくできたパン屋でバイトとしてサンドイッチを作って幸せにくらしてほしいな。



最後に


本書に含まれている短編に登場する人物たちの多くは、近しい人たちの考えをすべて否定せずに信じ込もうとしている。これは物語だからよいのだが、もし現実で誰の話でも鵜吞みにしてしまう人たちが増えていると考えると少し恐怖を感じる。

今村夏子さんは本書を通じて読者に、他人の話が真実であるか嘘であるか判断するのは自分自身であるということを伝えたかったのではないのだろうか。

なので私の感想では自分の妄想を含む考察も多いが、必ずしも考えが間違っているとは言えない。

書く物語についていろんな人の考察を聞いてみたいのでもしよかったらコメントで教えてください。






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ドラマが終わってしまい流行りに乗り遅れた感じがありますが、今更ながら池井戸潤さんの『下町ロケット』の第一作目摩を読んだので簡単な内容紹介と感想を書きます。

ネタバレも含みますので未読の方は注意してください。

『下町ロケット』のあらすじ


 研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。祖業依頼のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた――。




物語序盤から資金繰りの難しい佃製作所


下町ロケットは中小企業である佃製作所の様子を描いた物語ですが、大企業と比べると色々な面で中小企業の弱さが出ています。

まず、物語がはじまっていきなり、佃製作所の売り上げの一割をになっている取引相手である京浜マシナリーに方針が変わったから取引を打ち切ってくれと言われます。

大企業だとよっぽどのことがない限り、一つの取引先と契約が切れてしまっても会社が倒産しそうなピンチになるようなことはありませんが、中小企業にとって大口の取引先がいなくなることは厳しいです。

佃製作所は、これが原因でいきなり資金繰りが難しくなるという場面から物語が始まってしまいます。


卑劣なナカシマ工業との闘い


大口の取引先を失った佃製作所に、追い打ちをかけるかのような形で大企業であるナカシマ工業が佃製作所の作っているエンジンを自社のエンジンと似ているということで特許侵害で訴えてきます。

本当に特許が侵害されていると思い訴えているのならいいのですが、ナカシマ工業は佃製作所が裁判で弱り資金が付いたところで子会社にしてやろうという汚い法廷戦略を考えています。

物語中盤から現れる帝国重工と違いナカシマ工業は明確な悪として描かれていますね。

佃製作所は裁判は勝てば問題ないという考えで、ナカシマ工業に戦いを挑むのですが佃製作所が雇っている普通の弁護士では、特許や技術に関する知識が少なく、ナカシマ工業が雇っている弁護士には手も足も出ない状況でした。

ピンチの状況が続く中、弁護士である神谷修一との出会いで状況は一変します。神谷修一は特許などの分野に関して日本一と呼ばれる弁護士です、神谷のおかげで佃製作所はナカシマ工業との法廷戦を有利に勧めることができるようになりました。

しかし、まだ佃製作所の問題が消えたわけではありません。いくら神谷が優秀だとしてもナカシマ工業との戦いには時間がかかるため、資金が切れてしまえばおしまいです。

そこで、銀行から出向してきている殿村が資金繰りをはじめます。殿村の努力のかいあり無事資金が集まり、佃製作所はなんとかナカシマ工業に勝利しました。


帝国重工の登場


佃製作所がナカシマ工業と法廷戦をしている中、大企業である帝国重工が登場します。

ただ帝国重工は、ナカシマ工業とは違い絶対的な悪として現れるわけではなく、技術的に佃製作所に先を越されたロケットエンジンのバルブの特許がほしくて現れます。

帝国重工はロケットを製作するプロジェクト「スターダスト計画」でキーとなる部品を自社で全て作るように社長から通達があったのですが、エンジンをいざ開発してみると佃製作所がすでに特許を取得済みという問題が発生します。

一からエンジンの開発をやり直すのには時間がかかるため、帝国重工は佃製作所から特許を買おうとするのですが、裁判で弱っていることをさかてに部長の財前は安く買いたたけるのではないのかと考えます。

しかし、この財前の考えは甘く策略は失敗します。しかたなく特許使用料を支払うと財前は佃に申し込むのですが、佃からの返事は自社で納品したいという回答でした。このことが原因で佃製作所と帝国重工との戦いが始まります。


帝国重工との闘い


もとロケット研究員であった佃航平は、自分もロケットの発射に関わりたいという夢を叶えるために帝国重工に佃製作所からロケットの部品を納入すると従業員に伝えますが、これが一部の従業員から反発を買ってしまします。

従業員の多くは、特許料をもらった方が会社のためになると意見します。部品を納入したい佃航平側と特許料をもらいたい側で争っている中、帝国重工が部品を仕入れるにあたり佃製作所の調査にやってきます。

調査初日、技術職と一般職のどちらも帝国重工の社員にボロボロに言われてしまい、こんな状況では部品を仕入れるわけにはいかないと言われてしまします。

帝国重工の評価は、佃製作所の社員たちのプライドを傷つけました。言われっぱなしでは駄目だと思った社員たちは部品を納入したい側と特許料をもらいたい側で争うのをやめ、佃プライドのために立ち上がります。

努力のかいもあり、佃製作所の部品の納入は認められました。




感想(ネタバレあり)


以下感想になります。


ものづくりにかける情熱


佃航平をはじめ佃製作所の社員全員がものづくりにかける情熱がすさまじいです。

まず、佃と山崎は元研究員ということもあり、今までにない新しい技術を開発してやろうという思いがすさまじいです。

もし佃航平が一般社員から現在の社長職に移行した場合、ロケットエンジンに関する研究開発を行おうとする発想が出てこないと考えられるため、帝国重工と取引ができる企業になることがなかっただろう。またその他の小型エンジンに関しても、大企業から買収したいと思われるほどの技術をもっていることがナカシマ工業との戦いから分かります。

中小企業が生きていくには佃航平のように新しいものをどんどん開発していくイノベーションの気持ちを忘れたらいけないのかもしれません。

また、他の従業員も手作業で機械以上の作業を行うことにこだわりを持っていたり、作ったものにトラブルがあれば社員総出で原因を探ろうとするなど自社製品に対するこだわりの強さが分かります。

この本を読んだら多くの人も。自分も誰かに役立つ新しい技術の開発に取り組みたいと思ってしまう気がします。


魅力的なキャラクターが多すぎる


『下町ロケット』に登場する人物は、全員が主役なんだと思うほど魅力的です。池井戸潤の書き方が上手いためまるで自分がその人物になったかのように読むことができます。

社長の佃航平は、元研究員から道を外れてしまい社長になってしまったという過去があり、物語序盤では心の中に研究員に戻りたいという思いを持ちながら仕事をしています。しかし、物語の終わりには研究員ではなく、社長として佃製作所の一員とやっていきたいという思いをもつところがすごくかっこいいです。

殿村は、銀行から出向してきた社員でありながら佃製作所のことを誰よりも考えているのが分かります。銀行員でありながら自身が所属する銀行にはっきりものを言う態度や、正当に評価できないなら特許を譲るつもりはないという発言など第一章から常に見せ場があり池井戸さんのお気に入りのキャラなのかな?

『オレたち花のバブル組』に出てきた銀行員とは、イメージが大きく違うのですが、前作の経験を生かした人物となっており、私は本作の中で殿村が一番好きです。

また帝国重工の財前も最初は佃製作所のことをただの中小企業とバカにしていますが、実際にものづくりの現場を見ることで佃製作所の実力を素直に認めることのできる器のでかさが魅力的です。

この他にも魅力的なキャラが多数登場しています。


最後に


読み終わってから感じたことは、もっと早くこの作品を知りたかったということです。

とりあえず、まだ残り三冊下町ロケットシリーズがでているのでそちらの方も読んでいこうと思います。

もし未読の方がいれば、当ブログでは語り切れないほど魅力的な作品なのですぐ読むことを推奨します。



最近、紅茶にはまり始めたばかりのとしおです。

今回は、LUPICIA(ルピシア)の「アップルティー」を飲んでみたら寒い時期にぴったりの味で、めちゃくちゃ美味しかったので紹介していきます。



【ルピシア】アップルティの紹介


ルピシアのアップルティーには、デカフェのものとそうではないものがあるのですが、今回私は普通のアップルティーの袋入りを購入しました。

デザインがかわいいから缶のものを買うか悩んだのですが、初めてということで袋にしてみました。

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デカフェにしなかった理由は、茶葉の香りを嗅いだ時にデカフェのものよりも臭いが良く感じたからです。これは他のフレーバードティーでもそういう印象のものが多い気がします。

ただ、頻繁に飲む人だとカフェインの摂取しすぎを防ぐためにデカフェの方が良いかもしれません。

袋を開封して中身をだしてみると、茶番にドライアップルがまじっていてなんだかかわいいです。

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現在2月でまだまだ寒い時期が続くということで、今回はホットでいただきました。

ルピシアの公式サイトでもホットが推奨されていたので王道の飲み方です。

入れてみると色は通常のアールグレイとあまり変わりませんが、とにかくリンゴの香りがすごいです。甘い香りのおかげでにおいだけで癒されてしまいます!

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飲んでみるとリンゴの香りもあいまってか、他の紅茶を飲んでいるときよりも体の芯から暖まる気がします。

夏に水出しで飲んでみたらまた違った味が楽しめそうですね。




最後に


ルピシアのアップルティーはすごくおいしかったので、もしどの紅茶を買おうか悩んでいる人がいたらぜひ飲んでみてください。

また何かこの他におすすめの紅茶があればコメントで教えていただければ幸いです。




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今更ながら10年ほど前に話題になった「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(もしドラ)を読みました。

小説の内容としては青春小説なんですが、この本の特徴は野球部のマネージャーである主人公みなみがドラッカーの『マネジメント』を参考に野球部を成長させるというところです。おもしろかったので、ないようを簡単にまとめてみました。

『もしドラ』の要約

マネジメントには顧客が必要


ドラッカーはマネジメントの最初の仕事は「組織の定義付け」であると言っています。そして、組織を定義付けするために必要なものは顧客です。経営を始めるには顧客を満足させることを考えなければなりません。

みなみは野球部も組織ということに気が付き、定義付けをするにあたり「顧客は誰か」ということで悩みます。

読みながら私も顧客は誰か考えていると、応援してくれる親や観客だと思いました。

しかし、これは顧客の一部でしかありません。野球部が活動をするにあたり保護者の支援なども必要なのですが、それ以上に必要なのは野球を行う野球部員たちでした。

私は、野球部員は従業員だと考えていたのですがそもそも活動する人間がいなければ組織は成り立たないため、野球部員は従業員であり顧客であるのです。


顧客が求めるものとは


顧客が保護者、高校野球ファン、野球部員たちと定義付けできたみなみは次に、これらの顧客が求めるものは何であるのかを考えます。

みなみは顧客が求めるものは、高校野球とは切り離すことができない「感動」であると定義付けます。

確かに、毎年高校球児が甲子園などで野球をしていると多くの感動が生まれますね。

顧客が求めるものを定義付けできたことで野球部の事業は、顧客に感動を与えることだと決まります。


マーケティングとは


野球部の目指すべき姿が決まったところでみなみはマーケティングを開始します。

しかし、マーケティングをし始めるとある問題が発生します。それは、部員が求める「感動」は一人ひとり違うということです。

そこでみなみは部員一人一人と面談を行うことで部員が野球部に求めていることを正確に分析しようとします。

面接の結果、自分の実力を試すために野球をしている部員、子どもから野球をしているからなんとなく続けているだけの部員がいるなど部員によって色々な目的があることが分かりました。

顧客一人一人が何を求めているのかを知るのがマーケティングなんですね。



仕事には働きがいが必要


部員たちを分析したみなみは、生産性を向上させるために各部員に働きがいを与えます。

働きがいを与えるには、責任を持たせる必要があります。そのためには、①生産的な仕事、②フィードバック情報、③継続学習の3つの要素が不可欠です。

①生産的な仕事として新練習方法を提案して部員の士気を向上させます。

②フィードバック情報では、部員たちにランニングのタイムをメモさせたりして自己管理を行わせます。

③継続学習では、①と②を続けさせることで効果を実感させようとします。


マネージャーは専門家の通訳になれ


専門家は、知識が豊富であるからこそ専門用語などを使ってしまい従業員たちとすれ違いがおきます。これを防ぐために、マネージャーは専門家の意思を分かりやすい言葉に変更して従業員に伝える必要があります。

この物語での専門家は野球部の監督です。

みなみの野球部では、監督の意図が部員たちに伝わらず、監督と部員との間で壁が発生していました。そこでみなみは野球部のマネージャーの一人を専門かと部員との間の通訳として挟むことで意思疎通を図ろうとします。

この考えは成功して、今まで上手に活用できなかった監督の知識が部員に伝わることで、野球部はどんどん実力をつけていくことに成功しました。


従業員の強みを生かすマネジメント


従業員は人によって得意なことが異なるので、これらの強みをどう生かすかがマネージャーの腕の見せ所です。

野球部の場合、バッティングが得意な部員、守備が得意な部員、足が速い部員などで部員の得意分野を分けることができます。

各部員の強みを生かせるポジションに着かせることで、野球部の生産性はさらなる向上をみせました。


イノベーションをおこせ


新しくできた企業は、最初のうちは既存の同種の企業と同じことをしていても伸びるかもしれませんが、他の企業を越えるにはイノベーションをおこして、改革を起こす必要があります。

みなみは監督と相談して高校野球で陳腐化したものは何かを考えていると、「送りバント」と「ボール球を打たせる投球術」の2つが上がりました。

そこでみなみたちは、この2つをしない「ノーバント・ノーボール作戦」を生み出します。言葉通り、送りバントとボール球に手を出さない、ボール球を投げないという作戦です。

この作戦で従来の野球の常識を捨てて強豪校に立ち向かいます。


人事問題に取り組む


成果中心の精神を高く維持するには、成果に伴い昇進、昇給させるなどして人事に関わる意思決定をすることが重要です。

みなみは、プレイに集中したいキャプテンをキャプテンの任から降りてもらい、他の人をキャプテンとして選んだり、実力に伴う人間をレギュラーとして選出することで部員の精神を高く維持しました。

またレギュラー入りした部員の手当てをするだけではなく、レギュラー落ちした部員にもどうしてその立場に移動したのかしっかりと説明することでやる気を下げないように考慮しました。




成果こそすべての活動の目的である


仕事を行う上で過程も重要ですが、結局は成果がでないことには意味がありません。成果よりも努力を重視してしまうと、従業員は仕事のための仕事をしてしまうことになります。

そのため組織は成果のために働くことが重要です

みなみたち野球部も今まで努力を続けてきましたが、結局は大会に勝たなければ成果を出したとは言えません。


マネージャーは真摯であれ


マネージャーは従業員を管理する能力や、知識の豊富さなどが重要であると考えられがちですが、それらは後かでも学ぶことができます。

そのためドラッカーはマネージャーに最も必要なのは真摯さだと言っています。

マネージャーにとって何が正しいかだけを考えて、誰が正しいかを考えない、部下に対する真摯さが重要です。

みなみは本書を通して決して人を好き嫌いで否定することなく、正しいことだけを評価する真摯さを見せつけました。


最後に


「もしドラ」はドラッカーの『マネジメント』をどう生かしていくかが、弱小野球部で甲子園を目指すという具体例をあげて非常に分かりやすく説明している作品でした。

これから経営や会社で働くうえでマネジメントの知識を有効に生かしたいと考えている人には「本書」はうってつけの入門書だと思うのでぜひ読んでみてください。

また小説としてもありきたりな王道展開ではありますが、そういうのが好きな人は感動できる作品だと思うのでおすすめです。

みなみたち野球部が大会を勝ち進み甲子園に出場で来たか気になる人は、ぜひ本書を読んでみてください。







gensimのWord2Vecを使ってみたので、使用方法をまとめました。

今回コーパスは『極性分析できのこたけのこ戦争に決着をつける』の記事で集めたツイートのデータを使用します。小規模なコーパスなので上手くいかない可能性もありますが練習ということであまり気にしません。


Word2Vecとは


Word2Vecは大量のテキストデータを解析し、単語をベクトル化する方法です。

単語をベクトル化することで単語同士の類似度を計算したりすることができます。

今回の場合きのこの山とたけのこの里のツイートをWord2Vecを用いて分析するということできのこの山とたけのこの里はお菓子の名前という同じカテゴリなので二つの単語のベクトルは近いものになるはずです。


実行環境


  • Windows10
  • Python3.6
  • gensim3.4.0
  • MeCab(辞書はmecab-ipadic-Neologdを使用)
MeCabのインストール方法や辞書の変更方法は以下の記事にまとめています。

Python3でMeCabを動かしてみる(Windows10 64bit)

MeCabのNEologd辞書をWindows10で使う方法


gensimのインストール


gensimは以下のコマンドだけでインストールすることができます。
pip install gensim
anacondaを使っていてpipではインストールができない場合は次のコマンドを使ってください
conda install -c anaconda gensim



学習データの準備


コーパスは最初に述べた通りツイートのデータを使うのですがWord2Vecの学習を始める前に学習データを分かち書きにして単語と単語の間をスペースで区切った状態に変更する必要があります。

またWord2Vecでモデルを作成するさいは助詞、助動詞などの非自立語は除外したほうが精度の良いモデルを作成することができるため今回は名詞、形容詞、動詞以外の単語は除外します。

"たけのこの里が好きだ。" という文があった場合は "たけのこの里 好き" といった状態に変更します。

学習データの準備は以下のコードで実行しました。
# -*- coding: utf-8 -*-
# 学習データをgensimで使える型に変換

import MeCab

# テキストを名詞、形容詞、動詞を残した分かち書きに変換
def wakachi(text, file):
  tagger = MeCab.Tagger("-Ochasen -d C:\mecab-ipadic-neologd")
  node = tagger.parseToNode(text)
  while node:
    # 名詞、形容詞、動詞だけリストに追加
    if (node.feature.split(',')[0] == '名詞' or node.feature.split(',')[0] == '形容詞' or node.feature.split(',')[0] == '動詞') and node.feature.split(',')[6] != '*':
      try:
        file.write('{} '.format(node.feature.split(',')[6]))
      except:
        pass
    node = node.next
  
# tweetを読み込み
def loadtweet(filename):
  tweet = []
  with open(filename) as f:
    for i in f:
      try:
        tweet.append(i.rstrip())
      except:
        pass
    return tweet
  
def main():
  tweet = loadtweet("tweet/kinoko_tweet.txt")
  wakachi_file = "kinoko_wakachi.txt" # 書き込み先のファイル名
  
  with open(wakachi_file, 'w') as f:
    for i in tweet:
      wakachi(i, f)
      f.write('\n')

if __name__ == '__main__':
  main()
今回私はtweetを対象に行っていますがどんなコーパスを使用してもこのコードで対応できるはずです。

コード中に例外処理をいれていますがこれは文字コード関係でエラーを起こしてしまい今回はあまり厳密にデータをしなくてもいいかということで簡単に片づけています。




Word2Vecのモデル作成


Word2Vecのモデルの作成は自分で一からコードをかこうとすると結構大変ですが、gensimを使えば10行もかかりませんでした。

モデルの作成は以下のコードで行いました。
# -*- coding: utf-8 -*-
# Word2Vecのモデルを作成
from gensim.models import word2vec

data = word2vec.LineSentence("kinoko_wakachi.txt")
# モデルを作成
model = word2vec.Word2Vec(data, size=200, window=10, hs=1, min_count=2, sg=1)
# モデルを保存
model.save('kinoko.model')
モデルを作成するWord2Vecメソッドのオプションでは、生成するベクトルの次元数や、単語の最大距離を設定することができます。

sizeは生成するベクトルの次元数です。今回は200次元にしています。
windowは単語の最大距離です。今回は10にしています。
hsは学習にsoftmax関数を使うかどうかです。(0の場合は使わない、0以外の値では使う)
min_countはこの値より出現回数の少ない単語を無視します。
sgは学習アルゴリズムの設定です(0の場合はCBOW、1の場合はskip-gram)。今回は何かの論文でskip-gramの方が良い結果になりやすいと見た記憶があるのでskip-gramを使いました。


生成したWord2Vecのモデルを使ってみる


modelの読み込み

model = word2vec.Word2vec.load('kinoko.model')

単語のベクトルの確認

# きのこの山のベクトルを確認
word_vector = model.wv["きのこの山"]

似た単語を列挙

# きのこの山と類似している単語の確認
similar_words = model.wv.most_similar(positive=["きのこの山"], topn=9)
print(similar_words)
[('満足', 0.6623457670211792), ('NI', 0.6556951999664307), ('きのこ派', 0.6542500257492065), ('最高かよ', 0.6375962495803833), ('アイス', 0.6262195110321045), ('4m', 0.6219021081924438), ('ファン', 0.6202322244644165), ('永遠', 0.6201416850090027), ('ムース', 0.619083821773529)]
きのこの山に類似している単語にたけのこの里がないのは意外でした。アイスやムースなどの他の食べ物があるため学習データを増やせばたけのこの里も類似している単語として出現するのかもしれません。

語句の線形計算

# 線形計算(きのこの山-きのこ=???)
print(model.most_similar(positive=['きのこの山'], negative=['きのこ'])[0])
('木村', 0.4005602300167084)
"きのこの山-きのこ" をしてみると "木村" という謎の結果になりました。(なにがでたら正解かは分からないが...)

positiveに加算する単語、negativeに減算する単語を入れます。"父-男+女" のように複数の単語を用いた計算を行うことができます。

色々な語句の線形計算を行ってみると楽しそうな気がします。


最後に


この記事ではgensimを使ってWord2Vecのモデルを作成しました。

今回は小規模なコーパスを使ってモデルを作成しましたが、次することがあればもう少し大きなコーパスを使ってモデルを作成して文の類似度を測るなど応用した方法を実行してみようと思います。




Python3でtweetの形態素解析を行うためにWindows10でMeCabの辞書をNEologd辞書に変更しようとしたら思いのほかてこずったので変更手順をまとめました。

MeCabをインストールしていることを前提として進めるのでまだインストールしていない方は下の記事を参考にしてください。




NEologd辞書とは


Neologd辞書とは佐藤敏紀(@overlast)が開発しているオープンソースのMeCabと共に使う単語分かち書き辞書です。

特徴として週二回以上という頻繁なペースで更新されているため新語や固有表現に強く、語彙数が多くなっています。

そのためSNSなどの新語が多い環境で自然言語処理を行う際一般的にNeologd辞書が使われています。



NEologd辞書のインストール

動作環境

本記事における動作環境は下記の通りになります。
  • Windows10 Home
  • Python 3.6.7


コマンドプロンプトでLinuxコマンドをたたけるようにする


Linuxコマンドを使ってneologd辞書をインストールしていくので最初にコマンドプロンプトでLinuxコマンドを入力できるようにしていきます。

1. Windows Subsystem for Linuxを有効にする


コントロールパネル > プログラム
neologd1

Windowsの機能の有効化または無効化

neologd2

Windows Subsystem for Linuxにチェックして再起動

neologd3

2. Ubuntuをインストール


Windows Subsystem for Linuxを有効にしたら次はMicrosoft StoreからUbuntuをインストールします。

Microsoft Storeを起動してUbuntuと検索したら下記の画面がでるので入手をクリックしてください。
neologd4

3. ユーザ登録


インストールが完了したらUbuntuを起動してください。そうするとユーザ名とパスワードを入力するように指示がでますのでにゅうりょくしてください。

4. パッケージを最新化する


ユーザ登録ができたらパッケージを最新化するために下記のコマンドを入力してください。

sudo apt update
sudo apt upgrade





NEologdをインストール

1. ビルドに必要なものをインストール


下記のコマンドを入力してビルドに必要なものをインストールします。

sudo apt install mecab
sudo apt install libmecab-dev
sudo apt install make

2. UbuntuでNeologdをインストール

git clone https://github.com/neologd/mecab-ipadic-neologd.git
cd mecab-ipadic-neologd
sudo bin/install-mecab-ipadic-neologd

3. NEologdをWindowsにコピーする

cd ..
sudo cp -R /usr/lib/x86_64-linux-gnu/mecab/dic/mecab-ipadic-neologd/  /mnt/c/

コピー先は各自好みで指定してください。


NEologdがWindows10で使えるか確認


上記の作業が全て完了したらWindowsで使えるか確認します。

下記のコードが動いたら正しくインストールできています。

import MeCab

mecab = MeCab.Tagger("-Ochasen -d C:\mecab-ipadic-neologd")
print(mecab.parse("進撃の巨人の発売日だ"))

実行結果は以下の通りになります。

neologd5

ちなみに最初からMeCabに入っている辞書を使った場合の結果は以下の通りになります。

neologd6






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朝井リョウさんの『世にも奇妙な君物語』が文庫化していたのでさっそく購入してみました。

本作は「世にも奇妙な物語」の大ファンだという朝井さんが、番組での映像化を目指して書かれた短編集です。

全部で五編の奇妙な話が詰め込まれていますがどの物語もオチが絶妙でとてもおもしろかったです。

以下感想になりますがネタバレを含むので未読の方は注意してください。




『世にも奇妙な君物語』のあらすじ


異様な世界観。複数の伏線。先の読めない展開。想像を超えた結末と、それに続く恐怖。もしこれらが好物でしたら、これはあなたのための物語です。待ち受ける「意外な真相」に、心の準備をお願いします。各話読み味は異なりますが、決して最後まで気を抜かずに——では始めましょう。





感想(ネタバレあり)

シェアハウさない


シェアハウスの記事を書こうとしていたライターの浩子がシェアハウスの住民たちと接していくうちに住人に少し不信感を持ち始める…。

浩子は「シェアハウスが本当にシェアしているものはなんのか」という記事を書くために密かに住人たちがシェアしているものを探そうとしていたがなかなか見つけることができなかった。

最後の最後にシェアしているものの正体を見つけるがそれは異常性癖者たちがお互いの異常な性衝動をみはりあうことで抑止するというものだった。

物語の中盤で浩子が昔犯罪にあったことからなんとなく犯罪者の集団がシェアしている家だとは分かっていたが、犯罪を隠ぺいするための家だと思っていたので、お互いの性衝動を抑えあうために住んでいたのには驚きだった。

物語は悲惨な結末で終わってしまうが実に世にも奇妙な物語っぽいないようで本書の一作目にふさわしい作品となっていた。


リア充裁判


コミュニケーション能力が高いリア充が本当に正しいのが疑問を持っている知子は、ある日コミュニケーション能力をはかる裁判に招待される。そこで裁判官に批判されるリア充たちを見て知子は自分が正しかったと確信するのだが…。


オチが絶妙すぎる話でした。

主人公の知子が考えていた理想のオチで終わるのかと思いきや、まさかその世界が主人公の描く漫画の世界だっととは…。しかも知子が非リア充でコミュニケーション能力がなく大学内で唯一就職活動に失敗している人間だという。

物語を読んでいる途中はコミュニケーション能力がない人間をなくそうとする国策は間違っているんだと思わされるんですが、最後まで読み切るとけっきょくはどんなことをするにもコミュニケーション能力って大切なんだなと感じさせられました。

コミュニケーション能力がなくても成功をおさめて認められている人間って現実世界でも確かにほとんどいないなと思わされる物語だった。




立て!金次郎


親からの評価を気にする幼稚園で働く孝次郎。そんな幼稚園の現状がおかしいと感じる考次郎は園の考えに背き、自分の考えに従って行動した結果、親からの評価につながったのだが…。


物語終盤まで来ると今回の物語はハッピーエンドで終わりそうだなと思ったのですが、この作品も最後の最後にまさかのどんでん返しが待ち構えていました。

オチの内容は、保護者が事前に褒める先生やいじめる先生を決めておいて幼稚園の先生を絶妙にコントロールするというものでした。

どんでんがえしがなければ世にも奇妙な要素がないんですけど、このオチを読んだときは衝撃的でした。孝次郎の努力のおかげで上手くいったと思ったのにそれをくつがえされてしまいました。

もしかしたら現実世界のモンスターペアレントのなかにも教師をコントロールするためにクレームを入れている人がいるのかもしれませんね…。


13.5文字しか集中して読めな


インタネットニュース記事を書くライターとして働く香織。自分の仕事に誇りを持ち、尊敬する上司を持ち、自分の息子からも憧れられており順風満帆な生活を送っているのだが…。


まずタイトルの文字数が13.5文字(半角は0.5文字とする)っていうがいいですね。

ネットニュースの記事に対する朝井リョウさんなりの批判が入っている作品でした。ネットニュースは新聞と違って紙面に限りがないのでいくらでも記事数が増やせるがどうでもいい内容の記事も量産されているという朝井リョウさんのネットニュースに対する批判が入っている作品でした。

最後に息子が授業参観で母親の浮気調査と浮気の様子を記事にしていましたが母親としては衝撃的ですよね。息子は母に憧れて母の真似事をしているんですが自分の浮気がばれていたとは…。

息子の成長を素直に喜べなさそうだ。




脇役バトルロワイアル


主演オーディションの最終選考に残った淳平。最終オーディションが行われる部屋に入るとそこには自分を含めて普段は脇役ばかり演じる役者たちがいた。不思議なオーディションに合格して淳平は主演になれたのか。

今までの四話に脇役として登場した役者たちが集められていて本当にテレビの世にも奇妙な物語を見ているかのように読める作品でした。登場人物の名前も実際の役者によせられており誰が誰なのか想像しやすかったです。

場面を説明するなどの脇役的な行動をしたら失格となるというのも秀逸で、朝井リョウさんが脇役の行動をよく分析しているのが分かる作品でした。

周りの脇役たちがみんないなくなり淳平が合格したと思ったら最後の最後に真の主役が現れるというのに笑わされてしまいました。

五編の中で一番笑える作品となっています。


最後に


皆さんはどの物語が一番好きですか?私は『立て!金次郎』が一番好きです。

朝井リョウさんの描く『世にも奇妙な君物語』がいつか実際に世にも奇妙な物語で映像化されてほしいですね。





以前Windowsの環境でPythonでMeCabを使おうと思ったら上手くいかず諦めてUbuntuを使っていたのですが、今回久しぶりに挑戦してみるとあっさりと使うことができたので環境構築方法をまとめました。


動作環境


本記事における動作環境は下記の通りになります。
  • Windows10 Home
  • anaconda
  • Python 3.6.7
今回はanacondaを使っていますがanacondaを使ってなくても手順通り進めればインストールすることができます。



MeCab(64bit版)のインストール

1. MeCab(64bit版)のインストーラのダウンロード


MeCabのインストーラは下記のページからダウンロードできます。




2. mecab-0.996.exeを実行する


インストーラをダウンロードできたらmecab-0.996.exeを実行してインストールしていきましょう。



環境変数の設定


MeCabを無事インストールすることができたら次は環境変数の設定を行います。

1. 環境変数に「MeCabのインストール先\bin」を設定する


インストール先を特に指定せずデフォルトの設定でインストールしたのなら下記の例と同じもので問題ありません。

環境変数の例:C:\Program Files\MeCab\bin


2. 環境変数が正しく通せているか確認する


環境変数を設定できたら設定を正しく行えているか確認します。

コマンドプロンプトを起動してMeCabと入力した後に好きな文章を入力して形態素解析が実行されたら正しく環境変数を設定できています。

この際文字化けがおきますがそれはコマンドプロンプトがUTF-8に対応していないのが原因で起きるので気にしなくて大丈夫です。

MeCab1




mecab-python-0.996のセットアップ

1. mecab-python-0.996.tarのダウンロード


mecab-python-0996.tarは下記のページのperl/ruby/python/java バインディングの下にあるダウンロードリンクからダウンロードができます。

ダウンロードの際様々なバージョンのものがありますが0.996のものをダウンロードしてください。


2. mecab-python-0.996.tarを解凍する


mecab-python-0.996.tarをダウンロードすることができたら好きな場所に解凍してください。


3. setup.pyの編集


mecab-python-0.996のフォルダ内にあるsetup.pyはpython2.xxに合わせて書かれているものなのでpython3で利用できるように中身を少し書き換える必要があります。

下記に編集後のコードを乗せておくのでこれをそのままコピーしたらほぼほぼ大丈夫です。

ただMeCabのインストール先をデフォルトとは別の場所にした場合その部分だけインストール先に合わせて修正してください。

#!/usr/bin/env python

from distutils.core import setup,Extension,os

setup(name = "mecab-python",
    version = '0.996',
    py_modules=["MeCab"],
    ext_modules = [
        Extension("_MeCab",
            ["MeCab_wrap.cxx",],
            include_dirs=[r'C:\Program Files\MeCab\sdk'],
            library_dirs=[r'C:\Program Files\MeCab\sdk'],
            libraries=['libmecab'])
    ]
)


4. ビルドとインストール


Anaconda Promptを起動してmecab-python-0.996のフォルダに移動してください。

移動できたら下記のコマンドを入力してビルドしてください。

python setup.py build

ビルドができたら下記のコマンドを入力してインストールしてください。

python setup.py install


5. 実行確認


インストールができたら最後に実行できるか確認を行います。

下記のコードを実行して形態素解析の結果がかえってきたら作業は終了です。

import MeCab
mecab = MeCab.Tagger("-Ochasen")
print(mecab.parse("すもももももももものうち"))

実行結果は下記の通りになります。

MeCab2



最後に


環境を構築中にVisual Studioをインストールしていない場合はそれ関連のエラーが出るかもしれませんが適宜対応してください。

もし何か分からないことがあればコメントをもらえれば返しますのでコメントしてください。


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タイトルにある書店という言葉に惹かれて三萩せんやさんの『神様のいる書店 まほろばの夏』を読みました。

読み始めた時点ではあまりでメッセージ性がなく内容の薄い作品だと思ったのですが、読み終わってみると読者に伝えたい強いメッセージがあると分かる作品でした。

読了後誰もがきっと自分の持っている本や家族をもっと大切にしようと思うこと間違いないでしょう。

以後ネタバレを含むので未読の方はご注意ください。


『神様のいる書店 まほろばの夏』のあらすじ


「本と友達になれるなんて、とっても素敵なことだと思わない?」本好きの高校生・神山ヨミは、司法教諭の紹介で「まほろば屋書店」で夏休みのバイトをすることに。そこは、魂が宿り生きている<まほろ本>を扱った、世にも不思議な書店だった。お店で出会った同僚の青年・サクヤは金髪で無愛想、不良みたいな見た目。しかし彼はいつも、ヨミが見たこともないほど美しい本を持っていて——。






感想(ネタバレあり)

生きている不思議な本である"まほろ本"の存在


『神様のいる書店』では魂を持つ本であるまほろ本がキーアイテム(アイテムという言い方は失礼かも)となっています。

まほろ本にやどる魂の形は色々あるようで犬、猫、人間など様々なものが存在しています。魂の形がどういったルールで決まっているのかなどは本作ではしっかり触れられてはいません。

ただ作中でヨミが補修を行った昆虫が描かれているまほろ本のかたちは蝶であったことや豆田の持つ本の大きさが小さかったことから本の内容や大きさがまほろ本の姿に影響を及ぼしていると言えるのではないのでしょうか。サクヤなどの例外もあるため確実だとは言えないが。

また、まほろ本には生物と同じように生死という概念があるようです。ページが破けると怪我をおい、損傷が激しくなると死んでしまうようですが、これは本としての役割を果たせなくなったら(読者が読めなくなる)死んでしまうということでよさそうですね。

現実にまほろ本のようなものは私の知る限りでは現在は存在していませんが、本作を読むともしかしたら私たちの持つ本も魂を持っている可能性もあるかもしれないなと思ってしまうので、本を大切に扱わなければならないと思わされてしまいます。

本を補修する技術を持ち合わせない私としてはとりあえず本の置く場所などに気を使おうと思いました。




人間になりたいまほろ本・サクヤの存在


サクヤは人間に憧れ人間になりたいと願っているまほろ本です。

作中でサクヤは自分が空っぽの存在であることや文字を書いたりすることができないことを嘆いたりする描写がたびたびあります。文字が書きたいから人間に憧れるという理由はなんとなくわかるのですが本なのに中身がないというのは読んでいる途中は少し不思議に感じる点でした。

ただその理由は物語の終盤で明らかになりました。ヨミが壊れたサクヤを修復しようという場面でサクヤはカバーのデザインとは打って変わって中身は何も書かれていない真っ白な本であることが分かります。

サクヤは自分に内容がないため読者に何も与えてあげることのできず本としての役割を果たせないことがネックとなって人間にあこがれたのでしょう。

最終的に人間になれたサクヤはこれから中身のなかった自分の存在を埋めていくような人生を送っていくことができればいいですね。

関係ないですサクヤの他にも人間になりたがっているまほろ本の形が人型であるため、もしかしたら人型のまほろ本はみんな人間になりたがっているという法則があるのかもしれません。


ヨミの成長


本作ではサクヤの変化の他にヨミの人間としての成長が描かれています。

物語の冒頭でのヨミは家族ともあまりうまくいかず、中学でいじめられたことが原因で人間関係に強く踏み込めない人物でした。そのためそれらのことから逃げるために図書館にこもり本の世界に逃げ込んでいました。

ヨミはまほろば屋書店との出会いがきっかけで人間として変化し始めます。

バイトでうまくできなかった補修の作業のアドバイスを図書館で働いている姉からアドバイスをもらうことにしました。姉に苦手意識を持っていたヨミでしたが、アドバイスの際に姉がヨミがどうしたら理解しやすいの考えてアドバイスしてくれたことをきっかけに姉がヨミのことをよく見て大切にしてくれていたということに気が付きます。

また友人関係では、昔あったいじめが原因で友人のフミカとも一歩引いた付き合い方をしていましたが、フミカからの親友だよねという言葉をきっかけに一歩引くのをやめるようになりました。

最後の場面では姉から両親が喧嘩している原因のほとんどが自分が原因であると教えられたことで家族がヨミを大切にしていることを理解することができました。

ヨミが本に恩返ししたいという気持ちをもって図書館から飛び出たおかげで人間として一回り成長することができてよかったです。



最後に


駄文をここまで読んでくださった皆様ありがとうございます。

『神様のいる書店』には続きの物語が出ているみたいなのでそちらもまた読んでみようと思います。

そちらでは本作でスポットライトがあまりあたっていなかった人物たちにも触れているのかな?






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今回は大久保洋子さんの『江戸の食空間 屋台から日本料理へ』という本を紹介します。

本書は江戸の食事事情を江戸時代の文献からの引用をなどを用いて食文化研究家の大久保さんの手で面白おかしく描かれています。

江戸時代に登場した握り寿司の歴史や、江戸のグルメブームなど様々なことが分かりやすく説明されており日本食をたしなむ日本人ならば一度は読んでおきたい本となっています。

以下に各章の要約を簡単に記すので興味を持ったらぜひ読んでみてください。


『江戸の食空間 屋台から日本料理へ』の要約


盛り場に、辻々に、縁日に、百万都市江戸を埋め尽くしたファストフード屋台から、てんぷら、すし、そばは生まれた。庶民の愛した江戸前の味、意外に質素な将軍の食卓、調味料や嗜好品がもたらした食の発展、初鰹狂奏曲、料理茶屋の番付や料理書が出発されるグルメブーム、そして究極の料理茶屋「八百善」—。多彩で華麗な江戸の食空間を読み解く。
本書の構成は以下の通りになっています。
  1. 江戸のファストフードのにぎわい
  2. 江戸の味の誕生
  3. 将軍の食卓、町人の食卓
  4. 大江戸グルメブーム
  5. 究極の料理茶屋、八百善
  6. 日本料理の完成




江戸のファストフードのにぎわい


本章では江戸でファストフードが流行したきっかけと屋台で人気であった寿司、てんぷら、そば、鰻の蒲焼といった料理についてまとめられています。

現在ファストフードといえばハンバーガーなどが真っ先にあがりそうですが江戸では上記に書いたように寿司、てんぷら、そば、鰻の蒲焼といったものがファストフードの代表商品だったみたいです。

そばやてんぷらがファストフードなのはなんとなく想像できるのですが寿司や鰻の蒲焼がファストフードなんて今では考えられませんよね。両方ともどちらかと言えば高い料理であるという印象が強いです。

しかし、本書の解説をよめば鰻の蒲焼や寿司が当時ファストフードであった理由になっとくが行きます。


江戸の味の誕生


この章では日本食の味付けのベースとなる醤油、酒、砂糖などの調味料に焦点が当てられています。

江戸時代初期では天下の台所である大阪から調味料を輸入していたので江戸独自の味がなかったみたいですが時が進むにつれて江戸で調味料を製造するようになり江戸の味が作られたみたいです。

四国の和三盆が江戸時代にサトウキビの栽培に成功したことで生まれたり、キッコーマンの元となった製造元が醤油を作った歴史などが語られています。

この他にも参勤交代の制度のおかげで江戸に全国津々浦々から食材が集められてことなどが書かれており江戸が日本の中心であったからこそ独自の料理が作られてきたことが分かります。


将軍の食卓、町人の食卓


本章では将軍の食卓、上級・下級武士の食卓、町人の食卓が比較されています。

それぞれの食事内容の記録が残されている文献を参考に実際に各自の食事がどのようなものであったのかが書かれています。

将軍の食事は材料が豊富で一見すごく豪華なのですが、天ぷらなどの庶民が食べるものは食べないといった食事に対する制限が設けられていたみたいで身分が高い人は高い人で食べられないものがあり苦労していることが分かります。

また、上級武士や下級武士なども将軍と一緒で町民のように屋台で食事を買わないといった制限があったり、生産性がない職業であることが原因で給料が低く普段は意外と節制をしていたことが分かります。

それにくらべて町民は身分的には最も低い存在ですが食事に関しては屋台などの存在もあったおかげでそこらの武士よりはグルメな印象がつよいです。




大江戸グルメブーム


第四章ではグルメブームにより起きた初物の高騰や料理書の普及などについて説明されています。

今現在でも初物は人気ですがその流れは江戸時代からあったものみたいです。

鰹の漁獲量が少なかった時代には初鰹が一本現代の価格で10万円を超える値段で売られていたみたいです。初物が高騰した原因には江戸では初物を食べたということがステータスにつながっていたみたいで、このことが原因で値段がつりあがったみたいです。

幕府もやみくもに値段をつりあげないために食材ごとに販売する時期を制限していたみたいですが、制限されればされるほど欲しくなるのが人間のさがのようで裏で高値で取引が行われていたようです。現代のiphoneをフラゲしたり発売初日に並んで購入する人と江戸の人もあまり変わりがなかったみたいです。

またグルメかが進んだことで料理書などもこのときから現れ始めたみたいです。本書では料理本の一つである『料理物語』が引用でよく用いられていますが現代語訳版があれば私も購入して当時の料理を再現してみたいです。


究極の料理茶屋、八百善


この章では外食文化が発展した歴史と八百善という料理茶屋が人気になった理由について書かれています。

江戸時代になるまでは屋台をはじめとした外で食事をとる外食の文化がなかったみたいです。しかし、明暦の大火からの復興の際に「奈良茶屋飯」という茶粥の店ができたことがきっかけで江戸に外食文化ができたみたいです。

江戸で外食が広まったあともともとは八百屋であった八百善という料理茶屋が人気を集めました。

当時インターネットがなかった時代は集客するには店の良い評判を口コミで広げるしかなかったのですが、八百善は独自の料理本を出すなどの当時は考えられなかった画期的な方法で集客を行い江戸一の料理茶屋へと発展しました。




日本料理の完成


最後の章では江戸以前の時代から日本料理がどのように発展してきたのかがまとめられています。

日本料理は奈良時代に唐(当時の中国)の食事様式を取り入れたことから始まり、時代が進むにつれて現代の形へ発展したことが分かります。

最後まで読み終えたときには会席料理でどうして最後にご飯がでてくるかなどの疑問が解消されること間違いないでしょう。



最後に


ここでは本書の簡単な概要しか説明できませんでしたがもしこれを機会に興味を持ったならばぜひお手に取って読んでみてください。

『江戸の食空間』を読んだことでさらに食事の歴史についてさかのぼってみたいと感じました。この機会に私もまた別の本を読んで食文化に関する知識を深めていこうと思います。

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