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少し前に『終電の神様 始発のアフターファイブ』



を読んだ影響で『終電の神様』を再読したので本書の感想を書いていきます。




終電の神様のあらすじ


父危篤の報せに病院へ急ぐ会社員、納期が迫ったITエンジニア、背後から痴漢の手が忍び寄る美人——それぞれの場所へ向かう人々を乗せた夜の満員電車が、事故で運転を見合わせる。この「運転停止」が彼らの人生にとって思いがけないターニングポイントになり、そして……。


感想(ネタバレあり)


『終電の神様』は素敵な作品が多く、人それぞれに色々な物語があると感じさせる作品でした。

以下、各物語の感想を書いていきます。


化粧ポーチ


この物語の主人公は中盤までは女性であると思わせるように表現されていますが、実は男性だったというオチでした。

私は主人公を置換していた男性が「まさか」と言った場面でやっとこの主人公が男であるということに気が付きました。

読み返してみると最初のページの時点で女性ではないというヒントが出ており、そのしばらく後に「女は得だと思う。今日のように外出するといつも思う。」というセリフから主人公が男だと推測することができます。

他の読者の人はどの場面でこの主人公が男だと気が付いたのかが気になりますね。

また、終盤では妻が倒れたという連絡が入りあわてて病院に向かいます。すると会う人あう人眉間に皺をよせるなどの表情をしてきます。

化粧を落とし忘れているというオチを知りながら読んでいたのでこの場面では思わず笑ってしまいました。

ただ化粧のことも忘れるほど妻が心配だなんていい旦那さんですよね。終電の神様のおかげでこの二人の仲はさらに良くなりそうです


ブレークポイント


仕事ばかりの生活を送っている主人公に仕事のメリハリを教えてくれる物語。

社長から休むことが仕事だと言われ休日を与えられた主人公。今行っている仕事にめどがたち休日に入ったはいいものの主人公はまだ働き続けている社員の心配ばかりをしており仕事のことが頭からぬけません。

そんな主人公ですがボクシングジムの会長からの言葉で仕事をするときはして、休む時は休むというメリハリにつけ方を教えられます。

主人公は家に帰った後仕事のことを忘れて充実した休日を送れたはずでしょう。




スポーツばか


別れようとしている主人公に智子に彼氏が優しい嘘をつくというオチ。

前日の夜に消防車のサイレンの音が聞こえたから手紙が燃えてしまったという嘘を彼氏は着くわけですが、もし主人公である智子の乗る電車が遅れていなかったら二人は別れてしまったのかな?

別れようとしているのに携帯を着信拒否にしたりしていないあたり智子が本気で別れようとしていない気もする。


閉じない鋏


父が死んだあと家業である床屋を継ごうと決意する男性の物語。

母から父が亡くなるという連絡を受ける前にたまたまいた小料理屋での男性との出会いで主人公は両親の仕事に対するすばらしさを改めて認識する。

また電車が遅延したおかげ(死に目に会えない可能性もあるので良くはないかも)で主人公は冷静になる時間が与えられ今後家業を継ぐかどうか決心できたのではないのだろうか。


最後に


第五話、第六話、第七話についても感想を書こうと思ったんですが書き疲れたのでいったん筆をおきます。

また近いうちに続きを書く予定です。