としおの読書生活

田舎に住む大学院生であるとしおの読書記録を綴ります。主に小説や新書の内容紹介と感想を書きます。 読書の他にも旅行やパソコン関係などの趣味を詰め込んだブログにしたいです。

2018年10月

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以前使用していたキーボードが壊れてしまったので新しいキーボードを購入しました。

今までメンブレンの安いキーボードしか使ったことがなかったためせっかくの機会だし新しいキーボードはメカニカルキーボードにすることにしました。

メカニカルキーボードの中でどのキーボードにするか悩んだのですが以前から青軸キーボードを使ってみたいという思いとデザインの良さからLogicool(ロジクール)の【G512】のクリッキーを選びました



G512シリーズとは
G512シリーズは日本で2018年5月24日に発売したゲーミングキーボードです。ロジクールが独自に開発した「ROMER-G」というメカニカルスイッチを使用しているのが最大の特徴だ。ROMER-Gは入力の速さ、高耐久性、静穏性を売りとしている。

G512シリーズには以下の3通りのタイプがあります。
  • リニア
  • タクタイル
  • クリッキー
リニアとタクタイルはG512シリーズの発売当初から存在しており、クリッキーは日本では2018年7月5日から発売された。それぞれの特徴を以下にまとめます。

リニアはRomer-G Linearと呼ばれるメカニカルスイッチが使われており赤軸キーボードに近い特徴がある。そのためG512シリーズの中で特に静穏性が高いという特徴がある。

タクタイルはRomer-G Tactileというメカニカルスイッチが使われており茶軸に相当する。G512シリーズ発売当初はタクタイルがゲーミングキーボードとしての需要が高かったがクリッキーの登場により状況は変化した。

クリッキーはGX Blue Clickyと呼ばれるメカニカルスイッチが使われている。GX Blue Clickyと呼ばれる名前から分かる通り青軸キーボードに似た性能である。PCゲーマーがロジクールに青軸のキーボードを求めていたのでその需要に答えることのできたキーボードだ。

それぞれのメカニカルスイッチがCHERRY MXスイッチの赤軸、茶軸、青軸に似ているといったが冒頭でもいったように耐久性などがすぐれていることからROMER-Gのほうが良いキーボードだと考えられる。




実際にG512 クリッキーを使ってみた感想
ここからは私が実際にG512 クリッキーを使用してみて感じたことをまとめます。

キーの打鍵感についてだが、今までメンブレンのキーボードしか使ったことがないというのもあり使い始めた当初はキーが重く入力していて疲れると感じていたが、しばらくして慣れてくるとあまり疲れてこなくなった。

またキーを押した感触が青軸に似ていることからしっかりしているためキーの入力が成立していないという打ち損じが起こらない。また入力音が心地よくキーボードを打つのが楽しくなった。

ただ打鍵音が響くため職場などの多くの人がいる場所で使うのはあまり向いていないかもしれない。自宅などの打鍵音を気にしない環境で使うのがおすすめだ。音が気になる場合はクリッキーよりもリニアのほうが良い気がする。

またこのキーボードはゲーミングモードに切り替えることができゲーミングモードの間はWindowsキーなどのキーに触れても反応しないようにできるためゲーム中の誤作動を防ぐことができる。

その他にもロジクールの全てのキーボードに言えることだがロジクールのソフトウエアを使うことでLEDランプを自分の好きな色に変えられるところもいい。私はG512のシンプルなデザインにあう水色のLEDを採用している。

個人的な感想としてゲーミングキーボードとしてならG512のクリッキーは最高のキーボードであると思う。ただ仕事で使ったりあまりゲームをしない人ならばリニアのほうがおすすめだ。



最後に
15000円と少し値段ははったが本当にこのキーボードを選んでよかった。G512のおかげでメカニカルキーボードの良さに気づくことができた。

またお金がたまったらリニアや他のメーカーのキーボードを買ったりして時と場合でキーボードを使い分けたりしてみたいな。



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Windows10を使って機械学習をしてみたいと思いPythonでTensorFlowを使える環境を整えてみたのでインストール方法をまとめました。


TensorFlowを選んだ理由

TrnsorFlow(テンソルフロウ)とはで機械学習の分野で使用するためのOSS(オープンソフトウェアライブラリ)で、Pythonでも使用することができます。

Pythonで利用できる機械学習用のライブラリは他にもChainer(チェイナー)や Caffe などがありますがその中でTensorFlowを選んだ理由は利用者が多く情報を探しやすいからです。

以前Chainerを使用していたがTensorFlowよりは情報が少ないイメージがある。

また使い方が分かりやすく誰でも簡単にニューラルネットワークを組めるところも魅力的だ。



TensorFlowのセットアップ手順
これからTensorFlowのインストール手順を説明していきます。今回はPythonのディストリビューションである Anaconda を使ってセットアップしていきます。


1. Anacondaのインストール
Anacondaは下記のページからダウンロードすることができます。理由がなければPython3を選び基本的に最新バージョンで大丈夫なので64bitか32bitの自分に合ったほうを選択してダウンロードしましょう。

https://www.anaconda.com/download/
tensorflow1


インストーラをダウンロードしたらそれを起動しインストールを進めていきましょう。基本的に細かい設定をしたい人以外は Nextをクリックし続けるだけで問題ありません。

インストールにはしばらく時間がかかるのでゆっくり待ちましょう。インストールが完了すると下記のような画面が表示され次に進むとVSCodeをインストールするか聞かれます。これはインストールしなくても問題はありませんので私はskipをクリックしました(Visual Studio Codeを使ってデバッグなどするならばインストールしても良いと思う)。
tensorflow2
tensorflow
以上でAnacondaのインストールは完了です。



2.Microsoft Visual C++ 2015 再頒布可能パッケージ Update 3のインストール


TensorFlowを使うにはMicrosoft Visual C++ 2015 再頒布可能パッケージ Update 3をインストールする必要があるので下記のページからインストールしてください。すでにインストールしている人はとばしてください。

https://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=53587


3. TensorFlowのイントール(CPUバージョン)
Anacondaのインストールが完了したら次はTensorFlowをインストールしていきます

TensorFlowにはCPU用のものとGPU用のものがあるのですがまずはCPU用のもののインストール方法を説明します。GPU用のものを使う人は下にGPUバージョンのインストール方法を記しているのでそちらを見てください。

まず最初にスタートメニューからAnaconda Promptを起動します。
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起動したら下記のコマンドを入力してください。

conda install tensorflow

もしエラーが出た場合は現在のpythonのバージョンではTensorFlowを使えない可能性があるのでバージョンを落としましょう。(2018年10月8日の時点では3.7ではTensorFlowをインストールできなかったので、3.5にダウングレードしました。)

バージョンを落とすコマンドは下記になります。(3.5にする場合)

conda install python=3.5

バージョンを落としたらもう一度TensorFlowをインストールしてみてください。それで成功するはずです。

TensorFlowがインストールできたらしっかり動作するかテストをしてみましょう。下記のコードを入力してみて実行ができたら正しくインストールできています。エラーが出た場合Pythonのバージョンを変更したりTensorFlowのバージョンを変更したりしてみてください。
import tensorflow as tf
hello = tf.constant('Hello, world')
sess = tf.Session()
print(sess.run(hello))




3. TensorFlowのイントール(GPUバージョン)
TensorFlowで機械学習をGPUで行おうとするとTensorFlowの他にCUDAのインストールとCuDNNをダウンロードする必要があります。


CUDAのインストール
CUDAは下記のページからダウンロードすることができます。

https://developer.nvidia.com/rdp/cudnn-download

Windows10ならWindows10のものをダウンロードしましょう、CUDAのバージョンは9.0以外はTensorFlow対応していないので9.0にしましょう。

TensorFlowとCUDAのバージョンの対応表はこちらで見れます。

私は最初9.2でも大丈夫だと思っていたがそのせいで上手くいかず無駄な時間をとってしまった。
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インストールは指示通り進めていけば簡単にインストールすることができます。



CuCNNのダウンロード
CuCNNは以下のページからダウンロードすることができます。CuCNNをダウンロードするにはアカウントを作成する必要があるので持っていない人は作成しましょう

https://developer.nvidia.com/cudnn

CuCNNはCUDAのバージョンにあったものをダウンロードしましょう。

ダウンロードできたらCuCNNを展開して各ファイルをCUDAのディレクトリにコピーしてください。

cudnn64_7.dll ➞ NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v9.0\bin
cudnn.h ➞ NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v9.0\include
cudnn.lib ➞ NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v9.0\lib


tensorflow-gpuのインストール
tensorflow-gpuのインストールはCPU用のものとほぼ同じでAnaconda Promptを起動し下記のコマンドを入力するだけです。

conda install tensorflow-gpu

インストールが完了したら動作確認をしましょう。下記のコードを入力してみてください。
from tensorflow.python.client import device_lib
device_lib.list_local_devices()
GPUの情報が表示されたら正しくインストールできています。CPUの情報しか表示されない場合は上手く動作できていないのでもう一度バージョンなどを確認してみてください。



最後に
色々と困ったこともありましたが無事インストールできました。今後 TensorFlow を使った機械学習に関する記事も書いていこうと思います。

もし何か分からないことがあれば気軽にコメントしてください。答えられる範囲で答えようと思いますので。



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森見登美彦さんの第2回京都本大賞受賞作の『聖なる怠け者の冒険』を読みました。

『聖なる怠け者の冒険』は『四畳半神話大系』や『夜は短し歩けよ乙女』などと同じように京都の町が舞台となった作品で他作品で出てきた要素などもおり交ぜられているため森見登美彦さんのファンなら誰もが楽しめる作品となっています。

感想に少しだけだがネタバレもあるので未読のかたはご注意ください。


森見登美彦『聖なる怠け者の冒険』
社会人2年目の小和田君は、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら夜更かしをすることが唯一のお趣味。そんな彼の前に狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」なる人物が現れて……。宵山で賑やかな京都を舞台に果てしなく長い冒険が始まる。






感想
読み終わった後最初に思ったことは物語の内容がわずか1日分しかないのに1日分だとは思えないほど充実しているということでした。

しかも主人公の小和田君は倉のなかで妄想を膨らませながら怠け者のように半日近く眠っていたので実質主人公が何もしていない(怠け者としての姿勢を貫いている)時間が物語の半分以上だという…。しかし小和田君のどんな状況でも自分の怠け者としての意思を貫き通すところはどこかかっこいいようにも感じてしまいます。小和田君のような人物を魅力的に見せることができるのは森見登美彦さんだからできる技なんだろうな。


個性豊かな登場人物
内容が充実していたと感じる理由は様々な個性豊かな人物の視点から物語が構成されているからなのかもしれません。本作は主人公の小和田君以外の人物も魅力的なのもいい点です。

後藤所長は人生の達成感を得るために人々の称賛がほしくてぽんぽこ仮面という慈善事業を始めました。しかし、作中では自分が助けてあげた人から追われるという恩をあだで返すような行為をされてしまいます。また自分の休日をけずり怠け者としての本能をおさえてまでぽんぽこ仮面としての活動を行っていることに疑問を抱く場面もあります。最終的に町中の人がぽんぽこ仮面になったおかげでぽんぽこ仮面を引退できたのは後藤所長にとって良かったのだろう。

休日探偵の玉川さんは、浦本探偵とは違い探偵としての意欲は高いが能力がありません。しかも極度の歩行音痴で物語中の大部分は京都の町で迷子になってしまいふらふらとしていました。ただ浦本探偵の「迷うべきときに迷うことも才能」という言葉を聞いていると玉川さんは迷いながらも自分の職務を全うしているように感じます。

恩田先輩と桃木さんのカップルは二人とも休日を計画的な行動を行うことで充実させようという意識がすごかったです。小和田君のように怠け者のような休日がいるなか恩田先輩たちのように休日だからこそ色々なことをして充実させようという人も世の中には多いのだろう。私は本作の登場人物のなかでこの二人が一番好きです。

この他にも多くの人物が登場するがどの人物も本当に魅力的でした。




他作品と関連する要素
他作品で出てきた要素が出てくるのも本作の良いところで、森見登美彦さんのファンならば色々と探してしまうのではないのでしょうか。

偽電気ブラン、猫ラーメン、下鴨幽水荘など他にも様々なものが現れました。

多くの他作品の要素が登場した中で私が特に良かったなと思ったのは津田さんの出演です。これは『四畳半神話大系』のファンにはたまらないのではないのでしょうか。

あの悪友だった津田さんが10年後には蕎麦打ちの職人になっているとは想像もできませんでした。津田さんも歳をとれば丸くなるんだなと思ってしまいました。ひたすら津田の弟子が蕎麦を打ち、それを招待客が食べ続ける無間蕎麦は実際にあるのならば行ってみたい気がしますね。



最後に
森見登美彦ワールド全開の作品を読むと京都の街並みが素敵に描写されているからなのか京都に遊びに行きたくなってしまいます。私も小冒険として来年は祇園祭宵山に行ってみようかな。

あとがきで『聖なる怠け者の冒険』は新聞連載のときや文庫化前では内容が少し違うと書いていたのでそちらも読んでみたいな。

本書を読んだ人のなかで森見登美彦さんの他作品をまだ読んでいない方は他の作品もおもしろいのでぜひ読んでみてください。



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Amazon Echo(アマゾンエコー)を使って何かしてみたいと思い手軽に使えるIFTTT(イフト)を利用してAlexaでLINE(ライン)を送るシステムを作ってみました。


IFTTTとは


IFTTTとは『もし ◯◯◯ ならば ××× する』といった風にサービスをつなげることができるというアプリです。

つなげられるサービスは数百種類もあり、サービスによっては有効に時短できたりします。プログラミングがいらないので誰でも簡単に自分の作りたいサービスを作成できることが特徴です。

今回は『Amazon echoでおはようと言ったらLINEで友人におはようというメッセージを送る』サービスを作ってみます。



IFTTTへの登録

IFTTTへの登録は下記のサイトから行うことができます。

https://ifttt.com

登録に必要なのはメールアドレスだけです。入力フォームにメールアドレスを入力しGet started をクリックするとパスワードを決めるように言われるのでそこでパスワードを決めるだけで登録は完了です。



システムの作成

登録が完了したらいよいよシステムの作成です。

My Applets > Applets > New Applet の順でクリックすると下記の画面に遷移します。
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1. トリガーの選択

トリガーを選択するには this をクリックしてください。

この画面では if ◯◯◯ then ××× の ◯◯◯ に入る要素を選択します。今回トリガーとして利用するのは Amazon Alexa なので Amazon Alexa を選択して Connect します。

選択できるサービスの数が多いので検索ボックスを利用すると簡単に見つけることができます。


2. トリガーの手段の選択

次に利用したトリガーの手段を選択します。

今回は Alexa に特定のメッセージを言うとLINEを送るようにしたいので Say a specific phrase を選択します。
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3. トリガーとなるメッセージの入力

ここでトリガーとなるキーフレーズを入力します。

今回は「おはようと送って」をキーフレーズにします。
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4. トリガーが入力されたら何をするのかを選択する

次にトリガーが入力されたら何を行うかの that をクリックします。

今回は入力があったらLINEでメッセージを送るのでLINEを選択します。

LINEを選択したら次は Send message をクリックします。

ここではメッセージを送るグループとメッセージの内容を決めます。
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以上でシステムの作成は完了です。できあがったら実際にテストしてみましょう。

メッセージを送りたいグループにあらかじめ Line Notifyを招待しておく必要があるので注意してください。

Alexaでトリガーを発動するには今回の場合「Alexa おはようと送ってをトリガー」という風にトリガーをつける必要があります。



最後に
今回 IFTTT を使って Amazon Echo でLINEでメッセージを送信するシステムを作成しました。

メッセージを直接設定できたり、グループだけじゃなく個人にもLINEを送ることができればよかったんですけどね。

今のところ祖父母や子どもが家に帰ったときの確認ぐらいしか使い道が思い浮かびません。

IFTTTは手軽に使えるぶんできることに制限がかかっているなという印象が残りました。

もしこの記事を読んで興味を持ったらPCだけでなくスマホでも簡単に作成できるので独自のシステムを作ってみてください。





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表紙とタイトルのインパクトで購入した村田紗耶香さんの最新作である『地球星人』を読みました。

『地球星人』というタイトルを最初に見たとき地球の人間が宇宙で何かする話とかだと思っていたのですが読んでみると想像と違う内容で驚かされました。

村田沙耶香さんらしい現代の人間に対してメッセージ性の強い作品となっていました。





村田沙耶香『地球星人』


私はいつまで生き延びればいいのだろう。いつか生き延びなくても生きていられるようになるのだろうか。地球では、若い女は恋愛をしてセックスするべきで、恋ができない人間は、恋に近い行為をやらされるシステムになっている。地球星人が、繁殖するためにこの仕組みを作り上げたのだろう──。



あらすじ


本作は大きく分けると奈月の子供時代と大人時代の二部に分けることができます。


奈月の子供時代



小学4年生の秋級

物語は小学4年生である奈月が一年ぶりに祖父と祖母が住んでいる秋級を訪れる場面から始まります。

家族の中で自分の居場所がないと感じている奈月にとって夏に親戚が集う秋級で一年前に恋人になったいとこの由宇に会うのが楽しみでした。奈月と由宇にはそれぞれお互いにしか話していない秘密がありました。

奈月の秘密は自分が魔法少女であり、ポアピピンポボピア星の魔法警察からやってきた使者であるピュートからもらったコンパクトで変身することができ、ステッキで魔法を使うことができるというものです。

一方由宇の秘密は自分が宇宙人であり秋級に来る度に宇宙船をさがしているというものです。

二人にとって幸せな秋級での時間が続くと思った翌日に姉の貴世がいとこにからかわれたことでヒステリーの発作をおこしわずか二日という短い期間で奈月は実家に帰ることになってしまいます。

奈月は帰る前に由宇に結婚して結婚してとお願いします。由宇は奈月の言葉に対して結婚しようとかえします。

二人は針金で作った指輪をつけあい恋人になったときと同じように二人だけの決まりを作ります。
  1. 他の女の子と手をつないだりしないこと
  2. 寝るときに指輪をつけて眠ること
  3. なにがあってもいきのびること。
二人の約束は一見子どもらしくどれもかわいいものなのですが、三つ目の由宇が決めた「なにがあってもいきのびること。」という約束が今後の展開に大きな影響を与えます。



この時点では二人に対して子どもらしく可愛いなという印象でした。



次の秋級まで

その後、実家に戻った奈月は一年後の由宇との再会を楽しみにして過ごしていくのだが、そんな奈月に魔の手が襲いかかります。

それは塾の伊賀崎先生でした。伊賀崎は一見さわやかでかっこいい大学生のアルバイトなのですがその裏の顔はとんでもない変態です。奈月に対して指導という体のいい言葉を使って度々体に触れたりします。

そんな伊賀崎の行為について奈月はすこしおかしいと違和感を感じるのですが、伊賀崎のようなかっこいい先生が自分に好意を抱いているわけがないと誰にも相談をしません。

しかし、伊賀崎の行為がエスカレートしていきついに母親に相談するのですが、母はそんな奈月を「スケベなことを考えるな」と一蹴します。

一年が経ち由宇との再会まで残り一週間となった夏祭りの日、奈月にとって今後の人生を変える大きな事件がおきます。友人の静ちゃんが具合が悪く伊賀崎の家で休んでいると伊賀崎に教えられます。奈月は大切な友人の静ちゃんまで伊賀崎の魔の手に落ちるのではと考えてしまい静ちゃんを助けるために奈月は伊賀崎とともに家に向かいます。

しかし、いざ伊賀崎の家にたどり着くとそこに静ちゃんはいませんでした。静ちゃんが具合が悪いというのは奈月を呼び出したい伊賀崎の罠でした。騙された奈月は伊賀崎に『ごっくんこ』って知っていると尋ねられます。知らないと答えた奈月に伊賀崎は『ごっくんこ』の指導をするといます。

逆らったら殺されると考えた奈月はいきのびるために伊賀崎にしたがいます。『ごっくんこ』をさせられた奈月はまるで魔法を使って幽体離脱をしたかのような状況になりそのまま無意識のうちに家へと帰っていきます。

翌日奈月は意識が戻るのですが体のある違和感に気がつきます。それは味が分からなくなっているとものです。ジュースを飲んでも腐った飲み物を飲んだような気がして味を感じません。しかし、この時点では自分の体に起こった違和感をあまり気にしませんでした。



伊賀崎は本当に最低な人間ですね。もし奈月が相談した時点で母親が奈月の話を真意に受け止めていれば悲惨な事件を止めることができたかもしれないのに…。



再び秋級へ

その翌日、祖父が亡くなったということで葬式のため予定より早く奈月は再び秋級を訪れることになります。秋級で一年ぶりに由宇と再会した奈月は由宇に自分が伊賀崎に殺される前に性行為をしてほしいとお願いします。由宇は奈月が本当にしたいならと了承します。

次の日の夜中、奈月と由宇はセックスを行います。由宇と一緒になれた奈月は幸せな気持ちで眠りに落ちます。しばらくして奈月は目を覚まします。由宇と一つになれたことで満足した奈月は伊賀崎に殺される前に、母親から盗んだ睡眠薬を大量に服用して自殺をしようとします。しかし、自殺をしようとしていることに気がついた由宇は奈月を生き延びなければいけないと言って止めます。由宇の言葉で奈月は自殺を踏みとどまりました。

そうした中、二人がいないことに気がつき探しにきた大人たちに二人は見つかってしまいます。セックスの後服を着ていない二人を見て大人たちは二人を別々の蔵に閉じ込められて反省させられます。奈月は怒り狂う大人たちを見て世界に従順ではなくなった私たちに動揺していると感じます。

翌日、実家に連れ帰られることになった奈月は帰る道中由宇が自分の靴の底に宝物を残していたことに気がつきます。その宝物は昨年結婚式の際に約束した三つの約束事が書かれた結婚誓約書でした。誓約書を読み約束を守ろうと奈月は静かに誓います。



ここまでで過去の回想を除いたら奈月の子ども時代の話は終了です。

奈月は子どもの時点でルールに外れた人間を見てルールに従順に生きてきた人間はそれを許すことができないということに気がつきます。

実際に親として小学生の子どもがセックスをしていたと言われたら衝撃的なんだろうな。本能に身を任せて娘をなぐった父の気持ちも分からなくはない。これは私がルールに従順な人間だからなのか…。

また奈月は人間の住む街は蚕を生産するのと変わらない人間を生産するための工場と表現していますが、的確な発言の気もするんですがなんだか違和感を感じます。




大人になった奈月



再び秋級へ

奈月は3年前の31歳のときに結婚しており現在は千葉のマンションに住んでいました。しかしその夫との結婚生活には他人には話すことができない秘密がありました。

夫と奈月が出会ったきかっけは「すり抜け・ドットコム」というサイトでした。奈月は工場の部品の一部に偽装するために自分と同じような考えを持つ結婚相手を探していました。そこで見つけたのが今の夫です。夫も奈月と同じように工場の部品として機能しているかのように偽装するために結婚相手を探していました。

二人の結婚生活は性行為もなく、家事ですらそれぞれ自分のことのみ行うと言った感じでした。

そうした生活が続く中夫が会社をクビになったことをきっかけに二人は秋級を訪れることになります。都会で育った夫にとって奈月の話す秋級は憧れの場所でした。秋級を訪れる準備をしているうちに奈月は由宇が現在秋級の家に住んでいることを知ります。

秋級を訪れた奈月は久しぶりに由宇と再会します。奈月たち夫婦はこれからしばらく由宇と同じ家で暮らすということで自分たちの秘密を話します。

秘密と同時に自分たちは宇宙人であると話す二人に対して由宇は、「自分はれっきとした地球人だ」とかえします。



ここだけを読むと由宇は子どものころと違って奈月たちとは違い工場の一部の人間になっているような気がしますね。奈月の眠る前にこの家には自分とは違う動物が二匹いるように感じるという台詞からは、人間も他の動物と変わらない存在であるという考えを強調しているようでなんだか不気味です。



魔女を殺した奈月

奈月は久しぶりに訪れた秋級の地で、小学生のとき秋級から連れ戻されてすぐに伊賀崎の家で魔女を殺したことを思い出します。

家に連れ戻された奈月は遊びに行くのはダメだが塾には行けと母親から言われます。

塾に行くと伊賀崎から明日塾は休みだが奈月のために特別授業をするといわれる。その晩奈月はピュートとの作戦会議でピュートから魔女に操られている伊賀崎を助けてあげないと言われる。

伊賀崎を助けることを決意した奈月はピュートと変身コンパクトと魔法のステッキを持ってこっそり家を抜けだし伊賀崎の家へと向かう。伊賀崎の家に着くと伊賀崎から事前に教えられていた鍵を見つけて家に入る。

伊賀崎の部屋に入る直前、以前伊賀崎に『ごっくんこ』を強要されたときのように奈月は幽体離脱の魔法が使えた。幽体離脱した奈月は自分が抜けた体の様子を眺めた。奈月の体は伊賀崎に近づき家から持ってきた草刈り鎌を何度も伊賀崎に振り下ろした。

幽体離脱の魔法はいつの間にかとけており奈月はピュートに言われるがままに1分近く呪文を唱えながら鎌を振り下ろしつづけた。

ピュートから『もういいよ』と言われた奈月は、自分の服が金色の液体(伊賀崎の血)で汚れているのに気がつき、学校の焼却炉で服や使用した道具を燃やし下着姿でリュックを背負ったまま帰宅しそのままシャワーを浴びた。

新学期になり学校で静ちゃんから伊賀崎が殺されたことを教えられた。静ちゃんに誘われて伊賀崎の両親が犯人を探すためのビラを配っているということで奈月もビラ配りに参加した。それから毎日ビラ配りに行き家に帰るとピュートに話しかけた。しかし、ピュートからは同じお礼の言葉しか聞くことができない。

ある日のビラ配りの帰り静ちゃんから狂気は鎌であったことを聞く。ピュートにそのことを相談するとピュートは奈月とはもう喋れないが奈月がポハピピンポボピア星人だと告げられる。その後ピュートはミイラのように一言も喋らなくなった。

その後奈月はポハピピンポボピア星人として孤独で生きていくより早く地球星人に洗脳されたいと考えるようになる。



秋級での生活

二人はしばらく由宇とともに秋級で人間工場から開放された生活を送るのですが、しばらくして貴世がいつまで秋級にいるのかと奈月を訪ねてきます。夫は貴世のことを工場からの使者が来てもとの工場生活に戻されると恐れた。

貴世が帰った翌日の朝、夫から大切な話があると打ち明けられます。その内容は人間であることを捨てるために人間としてのタブーを犯すという内容でした。そのタブーとは家族の男性と近親相姦をするというものです。夫は週末実家に帰り兄と近親相姦することを決意します。

翌朝夫は兄と近親相姦をするために家を朝早くにでていきます。夫が出ていった秋級の家で由宇は奈月に夫がいない間は二人でここに止まるわけにはいかないと言い、いとこの陽太の家に泊まらせてもらうことになりました。奈月はその晩一人で秋級の家で眠ります。

翌日の昼頃になり夫が戻って来たが帰ってきた夫は近親相姦に失敗し父に追われていました。夫の父が秋級を訪れてきて奈月と夫の二人を無理やり工場へと連れ戻します。


ラスト


工場に連れ戻された奈月は家族からの取調べが行われます。取調べ内容は工場としての義務を果たすためにどうして夫と『仲良し』をしないのかというものでした。奈月が恐れていた工場の道具として機能していないことを言われる日々がやってきたのです。

取調べが続くある日、奈月は姉の貴世から『仲良し』できないのは昔塾の先生にいたずらされたからではないのかと言われます。実は姉は奈月と伊賀崎の関係を知っており、それだけではなく奈月が伊賀崎を殺したことも知っていたのです。姉は犯罪者の家族になると世界に従順な存在では亡くなると分かっていたため、奈月が犯行に使用した道具を隠していました。そして姉は話の最後に真当な人生を送るために夫と『仲良し』をしろと言います。

翌日奈月は工場に戻ろうとしている夫に一緒に逃げないかと言います。夫はそれを了承し逃げるとともに地球星人へ洗脳されかけている由宇を助けに行こうと秋級の家へと再び向かいます。

由宇を迎えに行くと最初は由宇も地球星人と同様に真当な人間として生きるために工場から出ていくことに反対しますが、話を続けると由宇はある真実を打ち明けます。由宇は昔からいきのびるために周りの命令に従っていただけで現在も命令に従って地球星人になろうとしていたことを告白します。告白のあと由宇も夫婦とともに工場から逃亡することを決意します。

秋級の家に逃亡した奈月たちはそこで地球星人とは別の生き方をしようとします。三人の合理性の基準は『いきのびること』で少ない貨幣で食料を買うのがもったいないと気がつけば食料を盗むようになったりした。

そんな地球星人としての生活が続くある日、秋級の近くの道路で起きた土砂崩れが原因で秋級の人々が秋級から出て行っていることを知る。人が少なくなった秋級で食べ物を盗みお酒を飲んだ。

翌日の朝、頭に強い衝撃が走り目を覚ますことになる。衝撃の正体は地球星人からの攻撃であった。既に夫と由宇が殺されているかもしれないと考えた奈月は地球星人から身を守るために近くにあったトロフィーで地球星人を殴り殺した。いきなり襲撃してきた地球星人の正体は伊賀崎の両親だった。伊賀崎が死んだ理由を知った両親は仇をうつために奈月を殺しに来たのだった。

伊賀崎の両親を殺した3日後、土砂崩れが原因で他の地球星人が秋級に戻ってこないため奈月たちは食料の調達手段を失い食料はつきかけていた。そこで以前殺した地球星人の肉を冷凍しておこうと由宇は提案する。

夫と奈月もその提案に賛同したが、奈月はそれをしたらもう地球星人として生きていけないことを恐れ最初は地球星人の解体作業に参加しなかった。しばらくして奈月が由宇たちの様子をみにくと二匹目の地球星人を解体しようとしていた。それを奈月も手伝うことにし最初のうちは抵抗があったがいざ解体してみると地球星人はただの肉でしかなかった。

その日三人は地球星人を使った料理を食べた。その料理を食べた奈月は伊賀崎に『ごっくんこ』させられていらい感じられなくなっていた味を感じられた。口が治ったのだった。

食事を食べ終わった三人は今後食料が尽きた場合お互いを食べあわないかという話し合いをする。話し合いの結果一番おいしい人物から食べることになり三人はそれぞれの味を確認する。

それからしばらくした明るい日、三人の元に地球星人がやってきた。その地球星人の正体は奈月の姉と母であった。三人の腹が膨らんだ姉と母からは悲鳴があがった。

悲鳴を元にやってきた救助隊員は三人に「あなたたちは人間か」と訪ねる。由宇は流暢な地球星人の言葉で「ポハピピンポボピア星人です。」とかえす。その後三人は手を取り合い地球星人の住む星へとゆっくり歩んでいった。




感想と考察


今年一番の衝撃作を読んでしまったと思うほどの衝撃的な作品でした。

今まで考えていた常識が本当に正しいものであったのかが分からなくなってしまいます。

本作の主人公を含む奈月などの人間の中でマイノリティの存在であるポハピピンポボピア星人の気持ちも分からなくはないけど多くの人はそのようにはなれないでしょう…。

読み終わってから気持ちの整理をするためにもう一度読み直しましたが、衝撃的すぎてなかなか気持ちを落ち着かせることができませんでした。

作中で村田沙耶香さんは街のことを人間工場であると表現していますがこれはなんだかとても気持ちの悪い表現です。しかし、言われてみればアパートやマンションなんて人が共同して生活しており他の知能が高い動物(宇宙人)からみれば蚕が集まって暮らしているのと変わらないのかもしれません。

この物語では、奈月たちを除く三人は人間工場の道具としての義務を果たすことが義務といったような感じで生きており、人間工場の道具として役に立たないマイノリティの存在を道具として正しい姿に戻そうとします。作中では、道具としての役目を果たせそうにない姉が工場の道具として役にたちそうな奈月を見て羨ましがる場面などもありとにかく道具として生きていくのが絶対の世界です。

そんな世界を気持ち悪く思った三人は自分たちは地球星人ではないということでポハピピンポボピア星人として生きていきます。三人は地球星人とは別の生き物ということで食料が尽きていたという理由もありますが地球星人を食べる描画などもありました。

物語の最後で男女共に腹を膨らませていた彼女らは性行為をしなくても工場としての義務を果たすことのできるポハピピンポボピア星人になれたということなのだろうか?


物語の本質とはずれますが、奈月は子ども時代から不思議な考えを持つ人物ではあるけれどもし伊賀崎に目をつけられていなかったら地球星人として真当な人生を送れていたような気がするので少し気のどくです。奈月の家族がまともな人間であれば今頃由宇と幸せになれていた可能性もありますね…。


ところで皆さんはどの人物が好きですか?

私は奈月の夫の智臣のいかれ具合が気に入り智臣が一番好きです。会社の金を平気で着服したり、近親相姦をしようとしたりとにかくクレイジーな存在でした。三人のなかでも特に考えがぶっ飛んでいるところがなんだかおかしかったです。


最後に


あらすじも簡単にはまとめましたが省略した部分も多いので地球星人を未読の方はぜひ読んで欲しいです。

読了後あなたの中の常識はどうなっているのでしょうか…。


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