としおの読書生活

田舎に住む大学院生であるとしおの読書記録を綴ります。主に小説や新書の内容紹介と感想を書きます。 読書の他にも旅行やパソコン関係などの趣味を詰め込んだブログにしたいです。

2020年08月

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住野よるさんの『麦本散歩の好きなもの』を読みました。

今までの住野よるさんの作品は学生を主人公とした作品ばかりでしたが、今回は新卒の社会人が主人公となっており、若い人から大人まで楽しめる作品でした。ただ、普段のテイストとは少し異なる作品であるため人によっては物足りなく感じるかもしれません。

本作は図書館勤務の新卒女子、麦本三歩のなにげない日常のショートストーリーが描かれている作品です。

タイトルが『麦本三歩の好きなもの』ということで、各ショートストーリーのタイトルが "麦本三歩は歩くのが好き "、"麦本三歩は図書館が好き" といいった風に "麦本三歩は~~が好き" という風になっており、麦本三歩が好きな色々なものについて語られています。

読み進めていくにつれキュートな麦本散歩の日常に癒されまくりました。

以下、あらすじと感想を書いていきます。




あらすじ


図書館勤務の20代新卒女子、麦本三歩のなにげない日々を三人称で描いた日常短編小説です。

麦本三歩の好きなものは朝寝坊とチーズ蒸しパンと本。性格は、ぼうっとしていて、おっちょこちょいで少し間抜けです。

彼女の周りは優しい人やおかしな先輩、怖い先輩など様々な人がいて三歩は日々翻弄されています。

この小説は特別な物語ではなく麦本三歩の当たり前の毎日を面白おかしく描いています。



感想(ネタバレあり)



キュートな麦本三歩


本作の主人公である麦本三歩はどこにでもいる普通の女性を描いていますが、なぜかとてもかわいらしく感じてしまい、魅力的です。

多くの読者が麦本三歩の可愛らしさに惹かれてしまったのではないのでしょうか。

私は、本作を読み進めていくにつれて麦本三歩のかわいらしさの虜にされてしまい、読み終わったころには麦本三歩のような友達がほしいと感じてしまいました。

麦本三歩には私たちが日ごろ当たり前だと思っている行動に対しても、好きになることができるポイントを見つけることができる力があります。

例えば作中で麦本三歩が紅茶を飲み、スーパーに売っているチーズ蒸しパンを食べているだけで幸せだと感じるシーンがあります。

こういった行動も初めて実行したときには私たちも幸せに感じるかもしれませんが、ルーティンにしてしまうと当たり前のことだと思い幸せには感じなくなってしまうでしょう。

しかし、麦本三歩ならばそんな当たり前の日常ですら毎日のように幸せであると感じることができます。

このように、あたりまえのことを幸せに感じることができる女性で、毎日を楽しそうに生きているからこそ、私たちは麦本三歩を可愛いと感じてしまうのでしょう。


また、麦本三歩には少し大食いであり、少しドジであるという二つの特徴があします。多くの人はこういった特徴を持つ人をかわいいと思ってしまう傾向があるのではないのでしょうか。

もちろん、ただ大食いだから好きになるのではなく、幸せそうに食事をしている描写が多いというのもあるとは思います。ドジなのもおかしな先輩のように好きではないと感じる人もいるかもしれませんが、多くの人は怖い先輩のようにかわいい奴だなと感じるでしょう。






『麦本三歩の好きなもの』の魅力


本書の魅力は先ほど述べた麦本三歩のかわいらしさもあると思いますが、それ以上に主人公が普通の女性であるため読んでいて共感ができるというところにあると思います。

たとえば "麦本三歩はモントレーが好き" では三歩は朝通勤しようとはしたもののなんとなく仕事に行きたくなくなったという理由で仕事をさぼってしまいます。

しかし、仕事をさぼったはいいものの罪悪感から翌日以降ずるをしてしまったということで三歩は一人苦しむことになります。

多くの人が三歩のこの状況を見て、自分もそんなことが過去にあったなどと共感できるのではないのでしょうか。しかも本書ではこの悩みを解決するために、ひとつの解決案を提示しているので三歩に見習って読者も次からはそうしようということができます

主人公がどこにでもいそうな普通の女性であるがゆえに、読者が共感をしやすいというのが本書の魅力だと私は思います。




この作品が伝えたいこと


本作は麦本三歩の日常を描いている作品です。この作品を通して住野よるさんは、読者に好きなものが増えれば人生が楽しくなるということを伝えたかったのではないのでしょうか。

忙しい現代社会では意味を見出すことができない行動を無駄であると感じがちです。

しかし、三歩のように意味がない行動の中に魅力を見出すことができれば、その無駄だと思っていた行動をすることが楽しくなり、人生が今より少し豊かになるのでしょう。

忙しいからこそ、少しの時間を楽しめる人間になることはとても大切だと思います。

私も三歩のように朝でかけるまでのわずかな時間を幸せに感じたり、色んなスーパーにそれぞれの特徴を見つけてその日の気分で買い物をするような自分の生活を楽しむことができる人間になりたい。



最後に


当たり前の日常を描いている作品でここまでおもしろい作品を久しぶりに読んだ気がします。

男性目線からは三歩がすごく好きになったのですが、女性の読者は本作を読んでどんな風に感じたのかが気になります。





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C++でint型やfloat型などの数値を文字列に変換する方法が分からず、いくつか方法を調べたので忘備録として記録しておきます。




sprintfを使用した方法


sprintfはC++のライブラリではなくCのライブラリを使う方法で、数値から文字列変換の一番王道な方法な気がします。
#include 

int main(void){
	char iStr[50] = {0};
	char fStr[50] = {0};
	
	int iNum = 123;
	float fNum = 4.56;
	
	sprintf(iStr, "%d", iNum);
	sprintf(fStr, "%f", fNum);
	
	printf("%s\n", iStr);
	printf("%s\n", fStr);
	
	return 0;

}

ただこの方法は数値の長さがchar配列のサイズより大きい場合、バッファオーバーフローを起こす危険があるので以下のようにsnprintfを使ったほうがいいです。



snprintfを使用した方法


snprintfは上記のsprintfのバッファサイズが指定できる版です。
#include 

int main(void){
	char iStr[50] = {0};
	char fStr[50] = {0};
	
	int iNum = 123;
	float fNum = 4.56;
	
	snprintf(iStr, sizeof(iStr), "%d", iNum);
	snprintf(fStr, sizeof(fStr), "%f", fNum);
	
	printf("%s\n", iStr);
	printf("%s\n", fStr);
	
	return 0;

}







ostringstreamを使用した方法


こちらはC++のライブラリであるsstreamの中のostringstreamを使用した方法です。

char配列に変換するために「ostringstream → string → char配列」という流れがあるので少し分かりにくい方法な気がします。

ただ、fstreamとかを使い慣れている人にとっては読みやすくなるのかもしれません。
#include 
#include 
#include 

int main(void){
	std::ostringstream iOss;
	std::ostringstream fOss;
	
	int iNum = 123;
	float fNum = 4.56;
	
	iOss << iNum;
	fOss << fNum;
	
	printf("%s\n", iOss.str().c_str());
	printf("%s\n", fOss.str().c_str());
	
	return 0;

}



to_stringを使用した方法


stringクラスのto_string関数を使った方法ですが、個人的には今までの方法の中でこの方法が一番分かりやすいと思っています。

ただし、C++11以降でしか使えないという欠点があり、過去のプロジェクトでC++98などの古い言語規格を用いている場合、使用できないという欠点があります。
#include 
#include 

int main(void){
	std::string iStr;
	std::string fStr;
	
	int iNum = 123;
	float fNum = 4.56;
	
	iStr = std::to_string(iNum);
	fStr = std::to_string(fNum);
	
	
	printf("%s\n", iStr.c_str());
	printf("%s\n", fStr.c_str());
	
	return 0;

}



最後に


いくつか数値を文字列に変換する方法を書きました。

このほかにもっと良い方法があればコメントで教えていただければ助かります。



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本城雅人さんの『去り際のアーチ』を読みました。

『去り際のアーチ』はプロ野球に関する短編が8編収録されています。

主人公がプロ野球選手の他にコーチ、審判、ウグイス嬢など多様な視点でかかれている短編集でした。

以下、各物語の感想を書いていきます。






塀際の魔術師


この物語の主人公は全盛期を過ぎた2000本安打直前の4番バッター、宇恵康彦です。宇恵の最後の去り際がかっこいい作品でした。

最終的に1999本でシーズンを終わってしまいましたが、ずるずるプロを続けるのではなく辞めたのがよかったです。最後に幻となった2000本安打のグッズをファンに無料で配布して、感謝の気持ちを忘れないのもかっこいいですね。

タイトルの「塀際の魔術師」は昔の守備の上手かった宇恵のことをさしているのかと思っていたのですが、違いました。

ラストシーンの風にのってホームランが入ったことがこれまで頑張ってきた、宇恵の気持ちをのせた魔法だったんでしょうね。



スイートアンドビター


この物語の主人公はジャガーズの元監督で現在は解説者を行っている滝澤寿郎です。滝澤のジャガーズに対する愛や感謝を感じられる作品でした。

ジャガーズに対して批判的な解説を行う久保谷と批判を行わない滝澤を比較している作品でした。

ラストシーンで滝澤は、久保谷の真似をして批判的な解説を行います。

しかし、その解説のやり方が自分にはあってないと悟り、ジャガーズと幸せな生活をおくってきたんだから解説をいつ辞めてもいいと思う滝澤には去り際の美しさを感じます。

また、解説を聞いているとたまに批判がきつい解説者がいますが、久保谷のようにジャガーズの選手がファンから批判される怒りのはけ口になっていると思うとそういった実況者もかっこいいですね。






カラスのさえずり


この物語の主人公は中部ドルフィンズのウグイス嬢の大島佐絵です。

大島は昔ながらのウグイス嬢のやり方を批判してくるDJのケンジと対立します。

ケンジの対抗策として、昔ながらのウグイス嬢のやり方を続けるのではなくケンジの盛り上げ方の元となっているメジャーリーグ風の盛り上げ方をしようとした部分が個人的には好きです。

いつまでも昔の方法を続けるのではなく新しいやり方を導入しようとする大島の心意気が素敵ですね。


また、大島のウグイス嬢にあこがれて入社した石堂にウグイス嬢を続けてほしいという、ウグイス嬢にかける大島の情熱もかっこいいと思います。

何か一つのことに夢中になれる人は何歳になっても素敵に感じます。



永遠のジュニア


この物語の主人公は北関ソニックスの石田和一朗です。

北関グループの会長であった親の栄光のおかげで、北関ソニックスのオーナーをしている石田はオーナーとしての仕事ができているか悩んでしまいます。

石田は今まで自分に自身がなかったことが原因でファンと直接向き合ってきませんでした。

しかし、元父の秘書であり、現在は自分の秘書の田崎から表舞台にあがった石田を支えるのが自分の役目だという言葉をうけて、石田は考え方をかえます。

石田がラストシーンで過去の自分の殻をやぶってファンと直接向き合うシーンが爽快な作品でした。



トモ、任せたぞ!


この物語の主人公はヘッドコーチの聡司です。

ヘッドコーチって中間管理で選手と監督の板ばさみになって大変なんだなと感じる作品でした。

聡司は監督に自分の意見は伝えるが、最終的な決定を監督に任せていたことが原因で選手や他のコーチたちからは嫌われる存在でした。

最終的にヘッドコーチをやめて少年野球の監督に着いたことで自分が正しいと思う意見を言うことの大切さに聡司は気づきます。

この物語を読んで上司に対して言いにくいことはあるけど間違っていることははっきり言うことが大切だと感じました。



旅立ちのフダ


この物語の主人公はダブ屋の鉄平です。鉄平は父と野球を見にきたときに昔ダブ屋からチケットを購入したときのことを思い出してダブ屋になりました。

とにかく鉄平のダブ屋の師匠であり、恩人でもある庄司がとてもいい人です。

庄司は若者に対して安い値段でチケットを販売したりすることに、鉄平は疑問を持ちますが、これは未来ある若者に対する庄司の優しさです。

庄司は、鉄平には危険な仕事をまわさなかったことを鉄平はその場では理解できませんでしたが、物語のラストでは鉄平は庄司の優しさに気づくことができたと思います。

これからはダブ屋ではなく他のまっとうな仕事をしてほしいです。


関係ないですけどダブ屋ってまだあるんですかね。インターネットが普及した世の中ではほとんど需要がなさそう…。



笑えない男


こちらは文庫版のために書き下ろされた作品です。

主人公は大学野球で活躍している、投手の誠一です。

誠一はプロとしての道を本心では歩みたいが、会社を経営する彼女の父に大学に通うお金を支援してもらう代わりに婿入りする約束をしています。

しかし、ラストシーンで彼女の父にプロに行きたいと言ったら、父はあっさり引き下がりそのうえ彼女との結婚も認めてくれるというオチでした。

個人的にはこの物語は非現実的な要素が多すぎてあまり好きではありません。(もちろんいい物語なのですが)

ここまでトントン拍子で人生が上手くいくと最初から成功が約束されていたみたいであまり主人公に共感できませんでした。



人生退場劇場


「人生退場劇場」は『去り際のアーチ』のラストとして文句ない作品でした。

今までの物語の主人公は自分で去り際を決めていました。しかし多くの人は自分で去り際のタイミングを把握するのが難しくなかなか辞めるとはいいだせません。

「人生退場劇場」は誰かに去り際を教えてもらうことで思い上がっていた人間が辞めることができるということを語っている作品です。

この短編集を飾るのにこれ以上の作品はないでしょうね。



最後に


『去り際のアーチ』すごくおもしろかったのですが、読了後、野球に詳しかったらもっとおもしろかったのだろうなと感じる作品でした。

この主人公は現実のこの人がモデルになっているとかもありそうですね。

この記事を読んで興味をもってくれた方がいましたらぜひ読んで見てください。







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金曜ロードショーで先日放送されていた『借りぐらしのアリエッティ』を見ました。

人間から隠れて過ごす、小人の世界感が描かれている作品で面白かったです。

あらすじや感想を書いていきます。






『借りぐらしのアリエッティ』とは


『借りぐらしのアリエッティ』とは、2010年に米林監督が初めて監督をつとめたジブリの作品です。

原作はイギリスのファンタジー小説である「小人の冒険」シリーズです。

『借りぐらしのアリエッティ』は、第一作目である「床下の小人たち」が原作となっています。

映画では舞台が日本ですが、原作ではイギリスが物語の舞台となっています。



あらすじ


屋敷の床下で、小人の少女であるアリエッティは両親とともに暮らしていた。

アリエッティたちは、人間に気づかれないように、人間のものを少しずつ借りながら過ごす、借りぐらしの生活をおくっていた。

アリエッティが14歳になった日に、父とともに初めての借りをする約束をしていた。

しかし、その日病気の療養でやってきていた少年・翔にアリエッティは借りをしている姿を見られてしまう。

人間に気づかれたアリエッティはどうなってしまうのか…。






感想(ネタバレあり)


以下、感想になります。


小人目線のかわいい世界観


小人の目線で描かれた人間の世界観がとてもかわいらしいです。

待ち針がアリエッティには武器となっていたり、クリップが髪どめになっているなど小人たちにとって人間の使っている道具一つ一つが特別なものです。

アリエッティたちが住む家も、小さな家具などドールハウス使われているようなものを実際に生活でつかっていてかわいらしいです。


また、時計の音など人間にとっては何気ない音でもアリエッティたちからしたら巨大な音に感じます。

人間と小人の感じ方の違いを上手に表現しているので、見ているとまるで自分も小人の世界にいるような気分を味わうことができます。


アリエッティと翔の関係性


アリエッティと翔の関係性を見ることで人間と小人がどういった関係なのかが分かります。

物語の中で翔はところどころアリエッティに歩み寄ろうとしますが、小人たちにとって人間は恐怖の対称でしかありません。

そのため、砂糖をあげようとした翔にアリエッティは「もう私たちに、関わらない」といった言葉を投げかけます。


ただ、物語の最後でアリエッティは人間の中にはハルさんのような小人にとって悪い人もいるが、全ての人間が悪いわけではないことに気がつきます。

最初の場面では、受け取らなかった角砂糖を翔から受け取ったことがその証明です。


小人に執着するハル


家政婦であるハルはネズミの駆除業者を呼ぶほど小人たちを捕まえることに執着します。

小人たちに執着する理由が物語序盤では、どこかに見世物として売り飛ばしたいのかなぐらいに思っていました。

しかし、物語が進んでいくに連れて、ハルが小人を見たということが真実であるということを証明したかっただけだと分かります。


ハルは車の止め方などから自分勝手の性格であるのが分かりますが、もう少し小人に配慮した行動をすればよいのにと思ってしまいました。

おそらく、ハルさんにとって小人を捕まえるのは、子どもが昆虫を捕まえるのと同じ感覚なんでしょうね。だから小人の生活が脅かしているということを考えることができなかったのでしょう。



最後に


『借りぐらしのアリエッティ』の感想をネットで調べていると賛否両論ありますが、個人的には好きな作品でした。

また映画のラストシーンのあとアリエッティたちがどうなったのかは、原作の「小人の冒険」シリーズを読むことで分かるみたいなのでそちらも読んでみたいと思います。






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今回は、湊かなえさんが書かれた『未来』を紹介します。

湊かなえさんといえば数々の大ヒット作を書かれていることで有名な作家で、多くの作品が映画化またはドラマ化されています。

本作はデビュー作の『告白』を書かれてから、10年目の作品となっており今度はどんなどんでん返しの結末が待っているのか読む前から楽しみの作品でした。




あらすじ


病気で父を亡くした小学四年生の章子のもとにある日、住所も差出人名前もない手紙が届いた。

その手紙の冒頭には「私は二〇年後のあなた三〇歳の章子です。」と書かれており、未来の自分から届いた手紙であった。

手紙の内容は未来の章子しか知らないようなことが書かれていたため、その手紙を信じた小学生の章子はその日から未来の章子に返事を書き始めた。

物語は、未来の章子への返事が書かれた手紙とともに進んでいく。



感想(ネタバレあり)


本作も他の湊かなえさん作品と同じく色々と考えさせられる作品となっておりました。湊かなえワールドが大好きな人であればすごく気に入る一作になっていると思います。

私は湊さんの他の作品もほとんど読んでいますがこの『未来』が一番好きかもしれないと思えるほどお気に入りの作品となりました。

冒頭の未来の章子からきた手紙を読んだ瞬間から早速タイトル回収かと興奮し、その後読めば読むほど続きが気になり気がつけば一日で読み終わっていました。




「章子」~エピソードⅠ


私は、湊かなえさんの作品を読む際は、どういうオチが待っているのか冒頭から警戒しながら読みます。本作では最初の未来の章子からの手紙を読み、その後最初の章子の返事を読んだときから違和感を感じていました。

まず、この手紙には四年生までに習う漢字しか使われておらずひらがなが多く使われていました。その手紙を読んだ時点ではまだ小学四年生である章子に未来の章子が配慮したのかなぐらいに思っていました。

しかし章子が返事を書いた手紙には四年生以降に習う漢字も普通に使っていたため未来からの手紙は三〇歳の章子ではなく現在同じ時間軸にいる人物が書いたのではないのかと考えました。

しかし、悲しいことに最初の章での私の推理はここで終わってしまいました(笑)

なぜなら、未来からの手紙が冒頭以降届かないんです。これでは推理のしようがありません。そのうえ、章子の生活がどんどんひどいことになっていくため推理よりも物語よりに集中してしまうんです。

林先生いい人だけど怪しいなとか思っていたら案の定だし、おばあちゃんにお母さんは人殺しだと言われるし、章子はいじめられひきこもるし、早坂がろくでもない人間だし…

読めば読むほど章子どうなっちゃうんだろうと気になってしまい手紙が誰からきたとかどうでもよくなってしまいました。

最初の章の「章子」が終わりエピソードⅠを読んだところでやっと手紙が誰からのものなのかなんとなく予想ができました。

亜里沙にも同一の手紙が届いたことから、私にはすでに未来からの手紙は未来からのものではないという予想があったため章子と亜里沙の共通の知り合いの篠宮先生だと考えました。序章で章子がもしかしたら篠宮先生が書いたかもしれないということを書いていたこともヒントとなりました。





エピソードⅡ


エピソードⅡで手紙を書いたのが篠宮先生であると分かりました。

手紙の差出人が分かったのは良かったのですが、エピソードⅡも教師のありかたについて色々と考えさせられる内容でした。

湊さんの作品に出てくる教師はだいたいの人物がかわいいそうだが、いい人という設定の人物が多い気がします。

篠宮先生は作品を読んでいると児童理解もきちんとできておりすごくいい教師であると伝わってくる。ただ、昔学費に困りいけない動画にでていたのが分かったことから退職を求められます。

これは実際に保護者の立場だとどう考えるのだろう。篠宮先生に教師であり続けてほしいと思う人は少数派なのだろうか?

校長先生が言っていた子どもに知られても大丈夫なのかという意見は分からなくもない。

しかし、実際に篠宮先生ほどよい先生がいた場合やめてほしくないと思う人も多いはず。

篠宮先生についてその後どうなったのかは詳細には書かれていないが原田君と今後も幸せに暮らし続けることを祈るばかりだ。

エピソードⅡを読み終わった時点で、残っていた謎は章子のお父さんとお母さんはどういう関係ということだけす。


エピソードⅢ


エピソードⅢでは父の良太と母の文乃(真珠)のことが書かれていました。

この章を読んで、森本誠一郎がすごく魅力的だと感じました。

エピソードⅢの冒頭で、森本は悪魔みたいで殺されても仕方ないと思いました。

しかし、読み進めていくにつれ、森本にも森本なりの悩みがあったのだと分かりとてもかわいそうな人物であると分かりました。

最後の森本からの手紙を読んだときは涙が止まりませんでした。森本には真珠とともにドリームランドに行ってその後も良太と仲良く過ごしてほしかった…。


終章


終章はハッピーエンドなのかバッドエンドなのか人によってとらえ方が変わる終わり方をしていました。私個人としては、ハッピーエンドだと思います。

章子と亜里沙の両方が物語上では、これまで常に一人で悩み続けてきました。

これまでの章では、お互いにやっと悩みを相談することができた相手が章子は亜里沙、亜里沙は章子と親友どうしでした。

終章前までは、相談できる相手はお互いだけであったが、終章で章子は相談できる相手が周りにたくさんいることに気づくことができました。

二人がすぐに幸せな生活を送れるかどうかは分かりませんが、30歳になるときには一緒にドリームランドに行き手紙に入っていたしおりを手に入れて未来からの手紙を本物のものとするんでしょうね。


ブログを書きながら気がついたが主要人物のほとんどが父か母のどちらかを亡くしている片親なんですね。このことを意識しながらもう一度読み返すと違った視点で楽しめるのかもしれません。


疑問点


読了後に二つの疑問が残ったのでこの疑問が分かる人がいればコメントで教えてほしいです。

  1. フロッピー(エピソードⅢ)を読んだ章子は父親に対してどういう気持ちをもったのか?
  2. 智恵理さんはフロッピーの内容を読んで自分の意志で家を燃やすことを決めたのか?
よろしくお願いします。



最後に


湊かなえさんの10周年の集大成である『未来』を読んだら久しぶりにデビュー作の告白を読み直したくなったな。

『告白』を読んでからもう一度『未来』も読み直そう。






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