
板橋雅弘さんの『おきざりにしたリグレットを拾いに。あの日のきみへと、もう一度』を読みました。
読み始めは登場人物の年齢が50代前後ということもあり、20代の私とは年齢が離れているため共感できない部分が多々あるなとか思いながら読んでしました。
しかし、読了後は後悔には年齢なんて関係ないんだということを感じることができ本作を読んで人生を見つめなおしたいと思うようになりました。
以下、あらすじと感想になります。
『おきざりにしたリグレットを拾いに。あの日のきみへと、もう一度』のあらすじ
高校2年の文化祭で、羽柴颯太、木村和樹、落合真弓、杉島誠一、江藤幸也、鮎川由香の6人はバンド仲間としてステージに立った。
その後彼らは、別々の人生を歩んで生きてきたが、約30年後木村は、羽柴と再会したことをきっかけとするかのように、木村は彼ら5人の人生と関わるようになった。
しかし、木村は55歳になったときに孤独死してしまう…。
木村が亡くなったことをきっかけに、残された5人は旧交を温めることになった。
葬儀の後、5人それぞれがこれまでの人生で心に抱えた苦い思いを打ち明けていると、そこで突然地震が起きた。
気が付くと彼ら5人はそれぞれがの人生で悔いを残したあの日にタイムスリップしていた。
突然の出来事に戸惑いながらも後悔を埋めるために、それぞれの過去を変更しようとする彼ら。
果たして彼らは過去の後悔を埋めて、未来を変えることができるのか。
感想(ネタバレあり)
後悔と人生
どんなに上手くいっている人でも、長い人生の中で後悔の一つや二つは必ずあります。
この物語にでてきた6人は、それぞれがタイミングは違えど人生の中でやり直したいと思った後悔の瞬間がありました。
羽柴は、高校生のころ鮎川に告白できなかったこと。
落合は、母の認知症を早期に発見できなかったこと。
杉島は、父の死に際で逃げ出したこと。
江藤は、娘の気持ちを汲み取ってあげることができなかったこと。
鮎川は、自分の生き方について悩み続けたこと。
木村は、高校以来6人で集まることができなかったこと。
こうして6人の後悔をまとめてみたら羽柴の後悔だけ少し弱いもののようにも見えます。
ただ、後悔ってあくまでその人が人生の中で悔いていることなので無理にレベルを合わせる必要はないんだということなんでしょうね。
木村を除いた5人は、過去に戻って後悔を残さないようにしようとしましたが、未来に戻った彼らの人生は何一つ変わっていませんでした。
ただ、彼らの気持ちは以前と比べるととても晴れ晴れしているように感じることができます。
その理由は、彼らがずっと抱えてきた後悔を清算することができたからなんでしょうね。
もちろん現実世界では、過去に戻ってあの日の後悔を埋めるということは不可能でしょうが、気持ちに清算をつけることは可能です。
後悔したことをやり直すことはできないけれども、気持ちに清算をつけることでこれからの人生を充実させていくことの大切さを本作から学ぶことができました。
友人の大切さ
この作品のテーマの一つに友情があると私は思っています。
友人との付き合いをおろそかにしないでほしいというメッセージを本作から感じました。
この物語にでてきた6人は木村以外は約40年ぶりに再会することになりました。
もし彼らが文化祭のバンド後も豆に関りを持ち合えば、お互いの後悔のタイミングで友人と相談して未然に防ぐことができたのではないかと思います。
木村は、偶然ではあるけど他の5人と再会したことで、唯一友人との付き合いを大切にしていた人間のようにも思います。
そのおかげで他の5人も再開することができました。
おそらく今後の人生ではかれらは40年を埋めるかのように関りあることになると思いますので、木村には感謝してもしきれないはずです。
私自身も、社会人になってからあまり連絡しなくなった友人がいるのでこの本をきっかけに久しぶりに連絡したいなと思いました。
まとめ
『おきざりにしたリグレットを拾いに。あの日のきみへと、もう一度』から後悔を生産することと友人を大切にすることが人生を楽しく生きるための秘訣だということを学びました。
人生で悩んでいることがある人や過去にとらわれている人にはすごくおすすめの作品ですのでぜひ読んでみてください。