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2018年に本屋大賞を受賞した辻村深月さんの『かがみの孤城』 が文庫化されていたので読みました。

さすが、本屋大賞を獲得した作品なだけあって、内容もまとまっており最初から最後まで面白かったです。

以下、あらすじと感想になります。ネタバレありなので未読の方はご注意ください。



『かがみの孤城』のあらすじ


中学校入学早々、イケてる女子グループからいじめにあい、自宅に閉じこもっていた"こころ"。

ある日、いつものように学校に行けず自宅にいると、突然部屋の鏡が光始めた。

鏡に手を伸ばすと体が吸い込まれていき、その先にあったものは西洋の城のような建物だった。

城にはオオカミのような面をつけた少女と"こころ"と似たような境遇の中学生7人が集められていた。

オオカミのような少女によれば"こころ"たちは、来年の3月30日までに城に隠された鍵を見つけると、どんな願いでも叶えられるようだ。

鍵探しを行っていく中で、7人は次第に仲が良くなっていき、それぞれの事情が明らかになっていく。

城の終わりが刻々と近づいていくが、果たして"こころ"たちは鍵を見つけることができ、彼女たちの願いを叶えることができるのか。



感想(ネタバレあり)


最初にも述べた通り、物語の主題が少年少女の成長ということに焦点が当てられており、最後までこの主題がぶれることがなかったため、内容がまとまっており非常におもしろかったです。

また物語に隠されていたトリックもおもしろくて気が付いたらなるほどと思うものばかりでした。


鍵の隠し場所


鍵の隠されていた場所はどこなのだろうと考えながら読んでいたので、鍵を隠すトリックが『オオカミと7匹の子ヤギ』の童話をもとに作られていたと知ってなるほどと感心してしまいました。

オオカミがでてきて、少年少女たちのことを赤ずきんちゃんと呼んでいたのがフェイクでありヒントだったというのがすごいなと思いました。

確かにオオカミさまは、こころたちにお腹の中に石をつめるなよなどとヒントになりそうなワードを言っていたのでどこかで気づきそうですが、こころたちと同様に気が付かなかった私は、推理力がかなり低いんでしょうね…。


こころたちは別の時代をすごしていた


集められた7人がこころとリオン以外が別の年代を生きていると気が付いたときは結構な衝撃でした。

みんなが同じ中学校の生徒であると気が付き、マサムネの提案で3学期の始業式にみんなで学校に行こうとしたときに私は彼らが別の時代を生きているということに気が付きましたが、他の方はどのあたりで気がついのだろうか。

こころがマサムネのゲーム機を見て、知らないゲーム機だという部分で気が付いた人がいたら、その人はかなりの推理力がある人なんでしょうね。

ちなみに私はこの時点では本当にマサムネの親にゲーム業界の知り合いがいるのかと思っていました。

このトリックを知った後にそれぞれが同じ学校であると気がついた場面などを読み返すと、同じ場所に住んでいるにも関わらずそれぞれの会話に微妙に矛盾があることが分かりおもしろいですね。





オオカミさまの正体


オオカミさまの正体がリオンの姉であったというのは最後の最後まで気が付きませんでした。

確かに物語の中でリオンだけは一人学校に通っているなど少しイレギュラーな存在なので、なにかあるのだろうなとは思っていたのですが…。

正体を知った後にかかみの孤城は、美央が知っている物語やドールハウスから構成されていて、リオンたちと遊ぶために作られた世界だと知ったときは、号泣してしまいました。

城のリミットが年度末ではない理由も美央の命日と絡めているのもすごいなと感じました。


助けを求めることの大切さ


かがみの孤城で過ごした一年を通してこころたちは成長しました。

彼らは様々な面で成長しましたが、一番の成果は助けを求めることの重要性に気が付いたことだと私は思います。

こころたちは常に誰に相談することもなく一人で悩みを抱えていました。しかし、彼らはアキがオオカミに食べられたことをきっかけに助けを求めることの重要性に気が付きました。

また、彼女らはそれと同時に助けを求める人を助けようとする気持ちも手に入れました。

物語の終わりで、アキもとい喜多嶋先生のこころが「心の教室」に入る前の描写がすごく良かったです。

かがみの孤城でこころたちに救われた喜多嶋先生が、今度はこころたちを助けようと決意している場面でアキの成長を感じることができました。

助けを求めることって一見すごく簡単そうに感じますが、悩んでいる人たちからしたらすごく難しいことです。

『かがみの孤城』を読んで、助けを求められない人に手を伸ばせるように自分も成長しないといけないなということを実感させられました。



まとめ


『かがみの孤城』をようやく読みましたが、物語の面白さもテーマ選びも文句のつけようがない作品でした。

最後に余談になりますが、需要はないかもしれないけど彼女たちが今後どう生きていったかというスピンオフ作品をいつか読んでみたいなと思いました。(辻村深月さん書いてくれないかな…)