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知り合いに劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』の入場者特典である『父と追憶の誰かに』を譲っていただきました。

本作は30ページほどの短編ですが、『君の膵臓をたべたい』の主人公である春樹の後日談となっています。

以下、あらすじと感想になります。ネタバレも含みますので未読の方はご注意ください。



『父と追憶の誰かに』のあらすじ


平凡な家庭環境で育った平凡な高校生である"ふゆ"は平凡が嫌いだ。

毎日続く平凡な日常に飽き飽きしていた"ふゆ"に平凡ではない出来事が起きた。

その出来事とは、彼女の父親が浮気をしているかもしれないということだった。

平凡な会社員である彼女の父は、女性の名前には常に「さん」を付ける。

しかし、"ふゆ"はある夜父が電話で女性の名前を呼び捨てにしているのを聞いてしまった。

ふゆは父が浮気をしている可能性があることにショックを受けつつも、それ以上に裏でワクワクしてしまう。

そんな彼女は、父の浮気現場を抑えるために休日の父を尾行することを決意する。

はたしてふゆの父は浮気をしていたのだろうか…。



感想(ネタバレあり)


『君の膵臓を食べたい』を読んだ身として、春樹が桜良を失ったあとどのような人生を送っていたのかがすごく気になっていたので『父と追憶の誰かに』を読めてよかったです。

物語の後日談が書かれる作品ってあまりありませんが、大好きな作品の後日談が読めるとやっぱり嬉しいですね。

本作の主人公である、ふゆは春樹の娘でした。

春樹が結婚して子どもができていたということが分かったときはなんだかおかしな話ですが感動を覚え、息子を見送った父みたいな気分になりました。

人嫌いだった春樹が結婚できたのも桜良と関わったおかげでしょうね。


本作は、春樹が浮気を疑われて娘に尾行されるという物語でしたが、実際は春樹が桜良の兄の娘と一緒に墓参りに行っていただけでした。

桜良を失ってから、10年、20年ほどたっても墓参りにいっていることから、春樹にとって桜良との出会いは春樹の人生を変える重要な出来事だということを改めて再認識することができてよかったです。

兄の娘と仲が良いことからも山内家と春樹の付き合いは今でも続いているんでしょうね。


また、春樹が現在出版社で働いているということを知り、その職を選んだ理由は共病文庫の影響なのかなとか一人で想像してしまいニヤニヤしてしまいました。

本作は、本当に短い作品でしたが桜良との出会いが春樹の人生を変えた事実が描かれていてよかったです。



まとめ


『父と追憶の誰かに』を通して『君の膵臓をたべたい』の主人公である春樹が後日どうなったのかを知ることができて良かったです。

住野よるさんの作品が映画化されるたびにこういう作品を書いてほしいと期待してしまいますが、『青くて痛くて脆い』ではこのような特典がなかったのでないのかもしれませんね。

本作もアニメ映画の特典なので、劇場アニメ化したら再びこういう作品を書いてくれることに期待したいですね。