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交通事故心理学の先生である吉田信彌さんの『事故と心理』を読みました。

本書では交通事故を起こす人たちのことを心理学的に分析していてなかなか興味深い内容でした。

少し古い本ではありますが、現代でも全然通用する内容で非常に興味深かったです。

この記事では『事故と心理』を読んで個人的に特に重要だと感じたことをまとめていきます。



『事故と心理』のまとめ



事故の被害者や加害者になりやすい年齢は?


世界的に交通事故の加害者となりやい年齢は免許取り立ての若者が多いようです。

中でも特に10代で免許を取得した若者が事故を起こす可能性が高いようです。

その理由として、若い人たちは少し無茶をすることが多いのが理由みたいです。同じように免許取りたてでも25歳などで免許を取った人たちは統計的に10代で免許を取った人よりも事故率が低いようです。


一方、事故の加害者となりやすいのは免許取得がまだできない子どもや高齢者が多いようです。



免許を保有している人の方が被害者になりにくい


免許を保有している人は、保有していない人に比べて歩行時に交通事故での死亡率が低いようです。

その理由は、歩行時に安全に歩行する術を免許を保有している人の方がよく知っているからです。

また、免許を保有できない子どもの歩行時の事故率は両親が免許を持っているかどうかが関係しているようです。

両親が免許を持っていれば正しい交通教育が可能であるため、子どもの事故率も低くなるようです。


運転時に重要なのは反応速度より正確性


多くの人は咄嗟の状況でブレーキを早く踏める人は事故率が低くなると考えるかもしれませんが、これは大きな間違いです。

実は交通事故を起こしにくい人は、反応速度ではなく正確性が高い人です。

正確性とは極端な例になりますが、ブレーキとアクセスを踏み間違えにくいような人のことです。

正確性が高いほど普段から安全運転することができ事故に遭遇しにくくなるようです。

免許センターなどで行われる交通教育では正確性が高くなるような教育を行なっているようです。


リスク補償説とは?


リスク補償説とは、工学的なリスク対策(自動ブレーキなど)を作ったとしても人間がその装置を過信しすぎて事故が減らないと言われる説です。

リスク補償ができたとしても、運転手にそのことを知らせずに運転させることが最も事故が起こりにくくなると言われています。

ただ、リスク補償を隠していたとしても近年ではSNSですぐに広まるなどもありあまり有効ではありません。

また、このリスク補償説が絶対に正しいのかと言われるとそういうわけではありません。1978年に左折事故が多いことから左折事故対策がとられましたが、この対策のおかげで左折事故による死亡者数は徐々に減少していきました。

つまりリスク補償はどんどん生み出されていきますが、交通参加者はリスク補償があるとしても、油断せずに運転することが重要なようです。



個人的に気になったこと


運転手と同乗者の性別や年齢の関係によって事故の加害者率が減少する可能性はあるのだろうか(男性は女性を乗せている方が安全運転する可能性が高いなど)?

近年ではペーパドライバーが増えているがそれが原因で若者の歩行時の事故率は上昇しているのだろうか?

高齢者は反応速度が遅くなるが、正確性が増すような教育ができれば事故率は減るのだろうか?


この辺りを他の本や論文から調べてみたいなと思いました。



まとめ


『事故と心理』を読んで交通事故を減らすためには技術的に安全率を高めるのも重要だけれども、その他に心理的に油断や慢心をせずに運転を続けることが重要だと分かり面白かったです。

また他にも交通工学や交通心理学関連の本なども読んでいきたいです。