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「明日、世界が終るとしたら、あなたは誰を愛しますか?」

この帯を見て、自分なら誰を愛するのかを考えるために読むべきだと思った、柳瀬みちるさんの『明日、君が花と散っても』。

戦争によりほとんどの人類が死に絶えた世界の中で生きる少年と少女の切ない恋に目が離せない!

世界滅亡系の小説は他にも色々ありますが、柳瀬みちるさんが描く独特な世界観で他作品とは差別化されており読み始めると止まらなくなります。


【目次】
あらすじ
感想




『明日、君が花と散っても』のあらすじ


簡単にあらすじを紹介します。


戦争により用いられた新型生物兵器(ウイルス)が原因でほとんんどの人類が死に絶えた。

新型生物兵器で家族を失った少年マサキは、ある小さな集落《ホジョウ》で拾われ徐々に成長していく。《ホジョウ》での生活は、同年代の少女であるカエデや優しい大人たちのおかげで不自由ながらも幸せであった。

そんな生活を送っているある日、マサキの目の前で突然仲間の体が花弁へと変化し散ってしまった。それは、手足の先から葉が生え、全身が花と散る奇病、〈死花症候群〉であった。

散っていく仲間を救う方法を探すマサキだが、調査を進めるうちに〈ホジョウ〉の違和感に気が付く。

そんな中、とうとうカエデも病に侵されてしまうしまう…。



感想


『明日、君が花と散っても』の見どころは、小さな集落《ホジョウ》の生活に違和感があるところです。

現代の日本と比べるとマサキを除く《ホジョウ》の住民の生活には違和感があります。戦争の影響で生活が変化したといえばそれまでなのですが…。


1.《ホジョウ》の住民は甘いものが好きで塩っ気があるものが苦手。

《ホジョウ》の人は、白米のおかずにクルミ入りの甘いスープ、玉子の蜂蜜焼き、豆を甘く煮たもの、干しぶどうの甘い和えものなどを食べます。逆に漬け物などの塩っ気のあるものはあまり食べません。

このことにマサキは、おかずが甘いものだけでどうして平気なのか疑問を抱きます。


2.猫を犬であるという。


《ホジョウ》にある日、猫が迷い込んできますが《ホジョウ》の住民はそれを犬である言います。

マサキは、まるで戦前に猫がいなかったみたいにみんなが猫のことを犬だと思っていることを不思議に思います。


3.《ホジョウ》の住民は誰も結婚をしていない

《ホジョウ》の住民は、誰も結婚していません。カエデのことが好きでいつか結婚をしたいと思っているマサキはある日、誰も結婚していない事実に気が付きます。


この他にも本作には様々な違和感があるのでそれらを意識しながら読むと物語をより楽しめると思います。

本作に関して言いたいことがまだまだあるのですがネタバレになってしまいそうなので言うことができないのがもどかしいです。
  • 〈死花症候群〉の原因は何か
  • 《ホジョウ》の違和感の正体
  • マサキとカエデの恋の行方
などもっと色々と話したいです!

純愛ものが好きな方は、とりあえず手にとって読んでもらいたいです。マサキとカエデの関係にキュンキュンしてしまいます。

また、世界の滅亡といったような世界観が好きな人も楽しめる作品となっていると思います。

本作は本当に世界観が独特でおすすめです。

今の私がそうなのですが、本作を読み終えるとストーリーを知っている人と「あそこはそういうことだったんだな」などと語りあいたい欲求が高まります。そのため多くの人に読んでもらいたい。

読了後に涙が止まらなくなると思いますのでぜひ自分で読んで満足感を体感してみてください。