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今回は大久保洋子さんの『江戸の食空間 屋台から日本料理へ』という本を紹介します。

本書は江戸の食事事情を江戸時代の文献からの引用をなどを用いて食文化研究家の大久保さんの手で面白おかしく描かれています。

江戸時代に登場した握り寿司の歴史や、江戸のグルメブームなど様々なことが分かりやすく説明されており日本食をたしなむ日本人ならば一度は読んでおきたい本となっています。

以下に各章の内容を簡単に記すので興味を持ったらぜひ読んでみてください。


『江戸の食空間 屋台から日本料理へ』
盛り場に、辻々に、縁日に、百万都市江戸を埋め尽くしたファストフード屋台から、てんぷら、すし、そばは生まれた。庶民の愛した江戸前の味、意外に質素な将軍の食卓、調味料や嗜好品がもたらした食の発展、初鰹狂奏曲、料理茶屋の番付や料理書が出発されるグルメブーム、そして究極の料理茶屋「八百善」—。多彩で華麗な江戸の食空間を読み解く。
本書の構成は以下の通りになっています。
  1. 江戸のファストフードのにぎわい
  2. 江戸の味の誕生
  3. 将軍の食卓、町人の食卓
  4. 大江戸グルメブーム
  5. 究極の料理茶屋、八百善
  6. 日本料理の完成



江戸のファストフードのにぎわい

本章では江戸でファストフードが流行したきっかけと屋台で人気であった寿司、てんぷら、そば、鰻の蒲焼といった料理についてまとめられています。

現在ファストフードといえばハンバーガーなどが真っ先にあがりそうですが江戸では上記に書いたように寿司、てんぷら、そば、鰻の蒲焼といったものがファストフードの代表商品だったみたいです。

そばやてんぷらがファストフードなのはなんとなく想像できるのですが寿司や鰻の蒲焼がファストフードなんて今では考えられませんよね。両方ともどちらかと言えば高い料理であるという印象が強いです。

しかし、本書の解説をよめば鰻の蒲焼や寿司が当時ファストフードであった理由になっとくが行きます。



江戸の味の誕生

この章では日本食の味付けのベースとなる醤油、酒、砂糖などの調味料に焦点が当てられています。

江戸時代初期では天下の台所である大阪から調味料を輸入していたので江戸独自の味がなかったみたいですが時が進むにつれて江戸で調味料を製造するようになり江戸の味が作られたみたいです。

四国の和三盆が江戸時代にサトウキビの栽培に成功したことで生まれたり、キッコーマンの元となった製造元が醤油を作った歴史などが語られています。

この他にも参勤交代の制度のおかげで江戸に全国津々浦々から食材が集められてことなどが書かれており江戸が日本の中心であったからこそ独自の料理が作られてきたことが分かります。



将軍の食卓、町人の食卓

本章では将軍の食卓、上級・下級武士の食卓、町人の食卓が比較されています。

それぞれの食事内容の記録が残されている文献を参考に実際に各自の食事がどのようなものであったのかが書かれています。

将軍の食事は材料が豊富で一見すごく豪華なのですが、天ぷらなどの庶民が食べるものは食べないといった食事に対する制限が設けられていたみたいで身分が高い人は高い人で食べられないものがあり苦労していることが分かります。

また、上級武士や下級武士なども将軍と一緒で町民のように屋台で食事を買わないといった制限があったり、生産性がない職業であることが原因で給料が低く普段は意外と節制をしていたことが分かります。

それにくらべて町民は身分的には最も低い存在ですが食事に関しては屋台などの存在もあったおかげでそこらの武士よりはグルメな印象がつよいです。



大江戸グルメブーム

第四章ではグルメブームにより起きた初物の高騰や料理書の普及などについて説明されています。

今現在でも初物は人気ですがその流れは江戸時代からあったものみたいです。

鰹の漁獲量が少なかった時代には初鰹が一本現代の価格で10万円を超える値段で売られていたみたいです。初物が高騰した原因には江戸では初物を食べたということがステータスにつながっていたみたいで、このことが原因で値段がつりあがったみたいです。

幕府もやみくもに値段をつりあげないために食材ごとに販売する時期を制限していたみたいですが、制限されればされるほど欲しくなるのが人間のさがのようで裏で高値で取引が行われていたようです。現代のiphoneをフラゲしたり発売初日に並んで購入する人と江戸の人もあまり変わりがなかったみたいです。

またグルメかが進んだことで料理書などもこのときから現れ始めたみたいです。本書では料理本の一つである『料理物語』が引用でよく用いられていますが現代語訳版があれば私も購入して当時の料理を再現してみたいです。



究極の料理茶屋、八百善

この章では外食文化が発展した歴史と八百善という料理茶屋が人気になった理由について書かれています。

江戸時代になるまでは屋台をはじめとした外で食事をとる外食の文化がなかったみたいです。しかし、明暦の大火からの復興の際に「奈良茶屋飯」という茶粥の店ができたことがきっかけで江戸に外食文化ができたみたいです。

江戸で外食が広まったあともともとは八百屋であった八百善という料理茶屋が人気を集めました。

当時インターネットがなかった時代は集客するには店の良い評判を口コミで広げるしかなかったのですが、八百善は独自の料理本を出すなどの当時は考えられなかった画期的な方法で集客を行い江戸一の料理茶屋へと発展しました。



日本料理の完成

最後の章では江戸以前の時代から日本料理がどのように発展してきたのかがまとめられています。

日本料理は奈良時代に唐(当時の中国)の食事様式を取り入れたことから始まり、時代が進むにつれて現代の形へ発展したことが分かります。

最後まで読み終えたときには会席料理でどうして最後にご飯がでてくるかなどの疑問が解消されること間違いないでしょう。



最後に

ここでは本書の簡単な概要しか説明できませんでしたがもしこれを機会に興味を持ったならばぜひお手に取って読んでみてください。

『江戸の食空間』を読んだことでさらに食事の歴史についてさかのぼってみたいと感じました。この機会に私もまた別の本を読んで食文化に関する知識を深めていこうと思います。