としおの読書生活

田舎に住む社会人の読書記録を綴ります。 主に小説や新書の内容紹介と感想を書きます。 読書の他にもワイン、紅茶、パソコン関係などの趣味を詰め込んだブログにしたいです。

カテゴリ:書評 > 学習

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伊藤美佳さんの『マンガでよくわかる モンテッソーリ教育×ハーバード式』を読みました。

本書では、子どもたちが持っている力をぞんぶんに使わせて、子どもの才能を伸ばす方法が紹介されていました。
よくある教育本とは違い親のストレスなども考えて書かれていたのがよかったです。

以下、内容をまとめていきます。



『モンテッソーリ教育×ハーバード式』とは


モンテッソーリ教育とは、子どもを将来的に自立」させることを目的とした教育方法です。

日本では一般的に先生が指示する教育を受けることが多く、指示待ちの子が育ちやすいです。

一方、モンテッソーリ教育では、子ども自身にすべてを決めさせることで、子どもの発想力や問題解決能力をのばします。
自分の頭で考え自分で選択できるので、大人になっても活躍できるように育ちます。


もう一つのハーバード式とは、人の様々な能力について提唱した理論です。
頭の良い(IQが高い)人が優れた人間だと思っている人もいるかもしれませんが、人間にはIQ以外にも様々な能力が秘められています。

本書では、このハーバード式の考え方を日本人向けに以下の「9つの知能」としてアレンジしました。

  1. 言葉
  2. 自然
  3. 音楽
  4. 自分


本書をとおして皆さんには『モンテッソーリ教育×ハーバード式』つまり「自律」と「9つの知能」を掛け合わせた、お子さんの才能をぐーんと伸ばしつつ、子育てが楽になる「輝きメソッド」を紹介していきます。




子どもの行動の秘密


子どものイタズラで困ったことはありますか?

親目線で考えるとイタズラなどは困った行動に見えるかもしれませんが、子どもは親を困らせたいと思いその行動をしているわけではありません。

子どもがやりたいと思ったことをやった結果、親が困っているだけなのです。

例えば、子どもが床に絵を書き出すと親としては困りますが、子どもは絵を描くことで手の器用さや感性を伸ばしたいと思っているのです。
こういうときは、大きな模造紙などを子どもに与えて床一面に絵を書かせてあげましょう。

ママやパパがイライラしてしまうと子どもも萎縮してしまうので、優しく見守ってあげられる方法で自由に遊ばせることが大切です。


子どもは不思議な行動をよくしますがそれは、すべて自分の能力を伸ばすためにやっていることです。

もし親にとって困るような行動場狩りする場合は、子どもとルールを決めることをおすすめします。
ルールを決めることで子どもも親も満足した子育てができるでしょう。



6歳までの育て方で未来が変わる


よく日本の学校教育が悪いから子どもが指示待ち人間になってしまったという話を聞きますがそれは間違いです。
子どもの性格は6歳までの育てかたで決まるので、学校に行く前の育て方で決まるのです。

遊び方を親が指示したり、困っているときにすぐに手助けされている子どもは指示待ち人間になりやすい傾向が高いです。

親は「子どもはなんでもできる存在なんだ」という目で見て接していくことが大切です。
子どもが困っている時はすべて助けるのではなくできないところだけを手助けしてあげましょう。


また、子どもの脳がもっとも成長する時期は0~3歳です。
そのため、小さいからなにも分からないだろうと思って接するのは大間違いです。

0歳の子どもは喋ることはできませんが、親が言った言葉を意外と理解しているものです。
なのでどんどん話しかけることで子どもはどんどん成長していきます。
子どもが小さいうちに「話しかけたり」「見せたり」することを絶対に無駄だと思わないでください。





世界にはばたく才能を伸ばす「9つの知能」


冒頭で人間には9つの知能があるという紹介をしましたが、ここでは各知能がどのように役にたつか紹介していきます。

ちなみにこれらの知能の才能は生まれもって決まっているわけではありません。育てることですべての知能を伸ばしていくことができます。
私は、9つの知能をバランスよく育てることをおすすめしています。


1.「体」の知能

「体」の知能は体全体や体の一部を、問題解決や想像のために使う能力です。

基本的にはどんな仕事でも体を使いますが、この知能を伸ばすことでスポーツマンなどの体を動かす仕事はもちろん、医師などの手指の器用さを必要とする仕事でも役に立ちます。


2.「言葉」の知能

「話し言葉」や「書き言葉」を効果的に使いこなす力です。

作家やマスコミなどメティア関連の仕事で特に能力を発揮しますが、どんな仕事でもコミュニケーション能力が必要なので役に立つこと間違いなしの知能です。


3.「数」の知能

計算をしたり、問題を論理的に分析したりする能力です。

この能力はプログラマーなどのIT関連の仕事、エンジニアなどの技術者の仕事で役に立ちます。


4.「絵」の知能

「絵」の知能は、視覚的に空間のパターンを認識する能力のことです。

この知能が伸びている人は、デザイナーやヘアメイクアーティストなどクリエイティブな職業がおすすめです。


5.「自然」の知能

自然や人工物の種類を識別する能力です。

将来、旅行会社などの人と自然をつなぐ仕事で役に立ちます。
その他にも自然から得られた感性は、クリエイティブな仕事でも才能を発揮するでしょう。


6.「感覚」の知能

五感を駆使して、さまざまな情報を敏感に受け取れる能力です。

五感を使ったすべての感覚に優れているので様々な仕事で才能を発揮します。
「視覚」はデザイン関連、「聴覚」は音楽関連、「味覚」はシェフなどの料理の仕事で役にたちます。


7.「音楽」の知能

音楽の種類やリズム、音程などを識別する能力です。

言うまでもなく音楽にまつわる仕事に最適な能力です。
ピアニストなどだけではなく、映像関連などの仕事でも役にたちます。


8.「人」の知能

他人の感情や意図、動機、欲求を理解して、他人とうまくやっていく能力のことです。

どん仕事でも他人とは必ず関わることになるので必ず役にたつ知識です。特に才能が発揮できる職業は営業などの人の感情を理解する必要がある仕事です。


9.「自分」の知能

自分自身の長所や短所などを理解したうえで、目標達成や動機づけなどを自律的に行う能力です。

起業家などの方は、自分の知能が突出している人が多いです。おそらく自分自身の頭で企業プランを考えたりする必要があるからでしょう。



子どもへの「接し方8ヶ条」


最後に著者の経験を通して子どもの才能を伸ばすための接し方8ヶ条を紹介します。

  1. すべてを受け入れる
  2. 自分で選ばせる
  3. 信じて、待つ
  4. 満足するまでやらせる
  5. 子どもに解決させる
  6. 間違いを訂正しない
  7. 子どもと「楽しい!」を共有する
  8. 自然の中で遊ぶ

とにかく子どもを自由に育てることが才能を伸ばすことにつながります。
親の身勝手で子どもを制御しないようにしましょう。

また、親が楽しくなければ子どもも楽しくありません。
子どもと一緒に楽しいの気持ちをどんどん共有していきましょう。

また8つめの「自然の中で遊ぶ」ですが、小さいときからテレビやゲームばかりにふれている子どもはぼーっとした子になりやすいです。
自然にたくさんふれさせることで感性豊かな子に育てましょう。



まとめ


『モンテッソーリ教育×ハーバード式』の子育ての方法が少しでも伝わったでしょうか。

子どもの才能を伸ばすためには以下の二つのことが重要でした。

  1. 子どもを自由にのびのび育てること
  2. 様々な才能をバランス良く育てること

この二つのことを意識して子どもの才能をどんどん伸ばしていきましょう。

また、『マンガでよくわかる モンテッソーリ教育×ハーバード式』では9つの知能を伸ばすための訓練方法がイラストで紹介されているので興味のある方はぜひ本書を読んでみてください。





少し前に話題になっていた東大教授である西成活裕さんが書いた『東大の先生!文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』を読んだので感想を書いていきます。




どんな人におすすめか


  • 中学生または高校生のときに数学を学ぶことを諦めてしまった人

  • 数学を基礎からもう一度学びなおしたいと考えている人

  • 現在、数学を学んでいる高校生



感想


読了後の第一印象としては数学を勉強する理由と中学生までに習う数学の範囲を本当に分かりやすく説明している本だと思いました。

学校では複雑な数学の公式などは教えてもらえますが、なぜ数学を学ぶのか、学んだ数学は仕事を行う上でどういった場面で活用できるのかということは教えていただけません。

しかし、本書は数学を学ぶ理由と仕事での数学の活用法というものを最初に説明したのちに数学の勉強が始まります。そのため本書の読者は数学を学ぶ段階では、なぜ数学を学ばなければいけないのかを理解しているためモチベーションを高く維持できるのがいいことだと思いました。

一部の学校では最初に数学を学ぶ理由などを説明しているかもしれませんが、この本のように全ての学校でしっかりと勉強を行う理由を説明するようにしてほしいです(数学を含む全ての教科で)。



本書で学ぶことができる数学の内容は中学数学全般と微分積分のさわりの部分でした。

本書の冒頭で中学数学をたった5、6時間で学べると書いており、読む前はそんな分けないだろうと思っていたのですが実際に読み進めていくと4時間ほどで中学数学を完全に復讐することができました。

もちろん人によって読むのにどれぐらいの時間がかかったのかは異なると思いますが、それでも3年で学ぶ内容を代数、解析、幾何の3つに分類して、分かりやすくまとめられていたなと思います。

本書を読んでいて一番勉強になったのはどんな二次方程式でも平方完成を使えば誰でも解けるという部分でした。今まで因数分解を使って解くことができない二次方程式は計算が複雑になる解の公式を使わなければならないと思っていました。しかし、平方完成を使えば解の公式よりも簡単な計算で二次方程式を解けるのでこんな解き方があったかことに感動しました。

また、ピタゴラスの定理の証明も一つの方法で証明するのではなく複数の方法を使って証明していたので読んでいてとても勉強になりました。


高校生に最初の数学の授業で必ず読んでもらいたいと思う良書でした。(中学生に読んでほしいと思わない理由は著者があとがきで語っています)


学んだこと


  • 二次方程式を解くのに解の公式を使うよりも平方完成の方が直感的で分かりやすいということ

  • 数学を使うことで人間が感覚的にとらえている事柄を定量的に説明ができるようになるということ

  • 数学を学ぶことで多段思考力がきたえられるようになるということ


最後に


本書を読んで改めて数学の勉強をしたいという気持ちがわきました。

また、西成活裕さんは本書以外にも数学の本や専門分野である渋滞学の本を出しているみたいなのでそちらも読んでみたいと思いました。

本当に良い本だったのでみなさんもぜひ読んでみてください。






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