としおの読書生活

田舎に住む社会人の読書記録を綴ります。 主に小説や新書の内容紹介と感想を書きます。 読書の他にもワイン、紅茶、パソコン関係などの趣味を詰め込んだブログにしたいです。

カテゴリ:書評 > ビジネス書

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陰キャITエンジニアであるとしおが雑談力を鍛えたいと思い、

五百田達成さんの『超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係を築ける』という本にのっていた雑談テクニックを1ヶ月ほど実践してみました。

個人的に1ヶ月実践してみたなかで特に役にたったというテクニックを紹介していきます。


ちなみにこの本での雑談とは、

「微妙な間柄の人と、適当に話をしながら、なんとなく仲良くなる」

という繊細な会話の方式のことです。

仲の良い友人とかと話す場合とは、また違うテクニックであるということに注意してください。



雑談力を上げるテクニック3選



否定とアドバイスは絶対にしない


人というものは相手から意見を否定されてしまったりすると、どうしても心の壁を作ってしまいます。

そこで見知らぬ人と仲良くなるためには、相手の意見を否定したりせずとにかく肯定することが大切です。

これを実践するようになってから相手との会話が以前に比べると途切れにくくなり、会話相手からどんどん話を広げてくれるようになり雑談をするのがとても楽になりました。

自分の本心では否定したり、アドバイスしたい場合でもとにかく肯定することで心の壁を取り除きましょう。


共通の知人の話をせず、共通の興味を探す


仕事関係で知り合った人と話すときに、相手と仲良くなるために共通の知人の話をしてしまいがちでした。

しかし、これはお互い共通の知人の話をしているだけで、お互いの話をしていないため表面的に盛り上がっていても次につながりません。

このような失敗をしないために自分と会話相手の共通の話題を探すようにしましょう。

例えば子どもが最近生まれたなら子どもが生まれた話でもいいです。

共通の興味がある話題を見つけることで、お互いに会話が弾み雑談が盛り上がりやすくなり、知人の話をしているときよりも関係が深まります。

これを実践してみて、知人の話をしているだけよりも次にであったときにお互いのことを覚えていて会話が盛り上がりやすくなりました。





「なぜ」と尋ねるのではなく、「どう」と尋ねる


雑談をしているとついついなぜ(Why)と理由を尋ねがちです。

雑談って意味のない話をしていることが多いので、正直理由を尋ねられても困ることが多いです。

そこで質問で話を盛り上げたい場合は、どう(How)を尋ねるようにしましょう。

例えば、マヨネーズが嫌いな人と雑談をしているときに、

「どうしてマヨネーズが嫌いなの」ではなく、「どのぐらいマヨネーズが嫌いなの」といった風に訪ねてみましょう。

このようなHowの質問ってWhyの質問と違って深く考えなくてよいのでテンポよく雑談が進みます。

質問するときにこれを意識するだけで沈黙の時間が少なくなり、以前より雑談が楽になりました。



まとめ


今回紹介したテクニックはあくまで私自身が役にたったテクニックですので人によって役に立たないかもしれません。

そういう人はぜひ『超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係を築ける』を読んでみてはいかがでしょうか。

この本には今回紹介したテクニックも含めて全部で36個の雑談テクニックが紹介されています。

その中できっと自分が使いやすい雑談テクニックを見つけることができるに違いません。

ぜひ雑談力を上げて、他人と話すのを苦痛と感じるのではなく楽しい時間にしてみましょう。





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2018年のベストセラーである新井紀子さんの『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』を読みました。

こういうタイトルの本はタイトルで煽るだけ煽って中身は薄いものが多いという印象でしたが、タイトルに嘘偽りのない本で衝撃を受けました。

以下、要約と感想になります。


『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』の要約



第1章 MARCHに合格——AIはライバル


AIの歴史


最初にAIの歴史としてダートマス会議で第1次AIブームが訪れました。このとき研究者たちは推論と探索により問題を解かせる研究にとりかかりました。1964年にはチャットボットの原点となるELIZAという対話システムが開発されました。

その後、1980年代にはコンピュータに専門的な知識をあたえ特定の分野に特化したエキスパートシステムを作ろうという動きが盛んになりました。ただ、このエキスパートシステムは世の中の常識や人間の感情という知識が難題で処理できないという問題がありました。

そして今現在、第3次AIブームが訪れています。第3次AIブームではハードウェアの性能が向上したことやウェブ上に大量のデータが増殖したことで昔からあった機械学習というアイデアに注目が集まりました。

機械学習で例えばイチゴの画像を分類したい場合は、大量のイチゴの画像データを集め、人間がコンピュータにイチゴの画像のどのあたりがイチゴらしいかという特徴を教えることで分類することができるようになります。

ただ、この特徴を教えるというのは専門的な知識が必要で、特徴を教えるという作業をコンピュータに任せようとする方法がディープラーニングです。

また、イチゴの画像データのような教師データを作成するのは大変であるため、教師データなしでコンピュータに学習させる方法として強化学習という考え方もあります。


代表的なAI技術とシステム


画像検出の代表的な技術としてYOLO(You Only Look Once)というものがあります。従来の画像分類の技術は一枚の写真をAIに見せて机がある、ミカンがあるなど写真にどのようなものがあるか分検出したい物体の数だけ計算を行っていました。

しかし、YOLOでは名前の通りたった一回の計算で物体を検出できるようになりました。発表当時ノートPCで10秒ほどかかっていた処理がYOLOでは0.02秒ほどで終わらせることができました。


また、ワトソンというIBMが作ったシステムはクイズ対決でクイズ王をやぶったことで話題になりました。このシステムは「モーツァルトの最後の交響曲と同じ名前を持つ惑星はなんですか?」と問われたとき、「モーツァルト 最後 交響曲」といった検索で必要なキーワードを高速で見つけてWebから必要な情報を見つけ出すことが可能です。


第2章 桜散る——シンギュラリティはSF


著者も研究者の一人として研究に携わった東ロボプロジェクトでは、東大合格を目標とするAIを開発しましたが結果は偏差値57.1と成績が悪くないものの東大合格には及びませんでした。

東大合格に届かなかった理由として読解力と常識力の壁があり、これから研究を続けていっても運が良くて偏差値60に届く程度で偏差値65を超えるのは不可能だと考えています。

よくスパコンを使ったり、教師データを増やすだけで東大合格できるのではないかという意見を聞きます。

しかし、スパコンを使ったところでコンピュータが何を計算すればよいのか分からない場合、どれだけ時間をかけても答えはでてきません。数式処理や自然言語処理では何を計算すれば分からない問題が山積みです。

また、教師データを増やせと言われますがセンター試験の問題には数に限りがあり集めたくても集めようがありません。またビッグデータが集まったところで必ず入試問題が解けるようになるわけではありません。

東大に合格するためには読解力と常識力が必要ですが、今現在のAIは統計的な手法に基づいて問題を解いているにすぎません。AIには表層的な読解力(係り受け解析の技術)などはありますが、文章の真の意味は分かりません。

常識力に関しても人間が常識だと思っていることをAIに教えることは非常に困難です。

以上のことより東ロボ君の偏差値の上昇はこのあたりが限界だと考えられます。

AIがAIを開発するというシンギュラリティを突破する日はこないでしょう…。





第3章 教科書が読めない——全国読解力調査


大学生に数学調査を行ったときに学生の読解力に疑問を持った著者は、東ロボくんの勉強をもとに基礎的読解力を調査するリーディングスキルテスト(以後RST)を開発しました。

RSTでは係り受け、照応、同義分判定、推論、イメージ同定、具体的同定という6つの分野があります。

この試験を学生に受けてもらった結果、基礎的読解力は年齢が上がることに上昇していくのですが、中3と高1の生徒を比べたところほとんど変化がなく基礎的読解力は中3までに身につくことが分かりました。

また、基礎的読解力と高校の偏差値に相関関係があることが分かりました。つまり基礎的読解力が高いと偏差値の高い高校に入れるということです。この理由は基礎的読解力がなければ教科書を正確に読むことができないし、試験の問題も正確に読めないからです。


ではどのようにすれば基礎読解力が身につくのか興味があり調べてみたのですが、分かったことはスマートフォンを使いすぎると能力値が少し下がるという程度のものでした。意外なことに読書習慣と基礎読解力の相関は発見することができませんでした。

以上のことよりこうすれば基礎読解力が上がるという方法を本書では示すことができません。


第4章 最悪のシナリオ


第3章から基礎的読解力が低い子どもが育っていることが分かりました。

基礎的読解力が必要のない仕事の多くはAIに代替されることが考えられるため、国として子どもたちの基礎的読解力を向上させる必要があります。

また、AIが単純な仕事を代替するようになればAIにできない仕事を人間がやればよいと言いますが、果たして読解力のない人間にAIができない仕事をすることはできるのでしょうか。

AIにできない仕事をするためには、AIが苦手な読解力を高めなければなりません。もしかしたらAIが原因でAI恐慌と呼ぶべき大恐慌が起きる可能性がかもしれません。



感想


本書は東ロボくんの挑戦を通してAIにとって代わられる人材にならないために基礎的読解力を身につけなければならないということを教えてくれる本でした。

第1章と第2章は技術的な話が分かりやすくまとめていて、技術者には興味深い内容になっています。内容が難しいと感じた場合は、第1章と第2章は流し読みでも問題ないのかなという印象でした。

個人的には東ロボくんがどのように問題を解いているのかが書かれていて興味深いないようでした。東ロボくん関係の論文を探して読んでみたいなとも思いました。

また、YOLOなどの名前は知っているけどどのような技術か知らなかったものについて書かれていたのも勉強になりました。これをきっかけに画像検出の勉強をしてみたいと思いました。

YOLOって技術的なことを考えずにとりあえず動かすだけならKerasとかで簡単に実装できるみたいですね。


この本の本題は第3章です。RSTの調査結果をこと細かにまとめられていて、中高生たちが教科書を読めないと著者が言っていた理由が分かりました。

本書のタイトルを見たとき『教科書を読めない子ども』とは未就学児のことを指していることだと思ったのですがまさか中高生などに使われていることだったことに衝撃を受けました。

国全体として基礎的読解力を向上させるために教育方針を一転させる必要がありそうです。教育関係者で現場にいるかたは子どもたちの読解力の低下に関して理解しているかもしれませんが、現場にいない人は理解していない人が多そうですのでぜひ本書を読んでもらいたいところです。

まだ、私には子どもがいませんが子どもが生まれたときにはAIに代替されない人材として育ってほしいので、最低限一人で教科書を読んで理解できる程度の基礎的読解力を身につけさせてやりたいと感じました。そうするためには国に任せるばかりではなく個々人で子どもに対する教育にも工夫が必要そうです。

また本書にRSTの例題や間違いが多かった問題が載っていたのも良かったです。私も本書に載っていた問題を解いてみたのですが一応全問正解で少しだけ安心しました。

ただ、問題量が少ないため個人的でRSTを受験する方法などがあるのであれば一度受験して自分の読解力を正確に把握してみたいですね。

自分が読解力が低いのか高いのか気になるところです。



まとめ


『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』は東ロボくんの研究結果とRSTによる子どもたちの読解力の調査結果が分かりやすく書かれている本でした。AIの普及により単純作業しかできない人間はいずれ淘汰される可能性があると分かりました。

調査結果などが分かりやすく内容も興味深い本ですので未読の方はぜひ読んでみてください。






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遠山功さんの『コンピュータにかわいいを学習させたら何が起きたか』を読みました。

タイトルと内容にギャップがあり個人的にはがっかりしましたが、経営者向きの本としては悪くありませんでした。

以下、感想になります。


感想


タイトルと内容のギャップ


『コンピュータにかわいいを学習させたら何が起きたか』ですがタイトルだけで面白そうだと思い読んだのですが、個人的には期待外れの本でした。

期待外れだった理由はタイトルと内容が全然一致していなかったからです。

本書の概要も理解せずに読み始めてしまった私も悪いのですが、タイトルから画像分類や自然言語処理の関係の本なのかと予想していたのですが実際の内容は経営者向きにビッグデータの使い方をかいた本でした。

ちなみに本書のタイトルについて書かれているのは10ページほどで、著者の経験ではなくとあるアパレルメーカーの経験談を書いているだけという…。

また、副題も『だれも教えてくれなかったビッグデータ分析のノウハウ』ということで理系向けの技術書みたいな副題をしているくせに、文系向きの本だという…。

タイトルだけで面白そうだと思って本書を買った人のほとんどががっかりしたと思います。

経営者向けのビッグデータ本だと分かるタイトルをつけてほしかった。





経営者向きの本としては悪くない


タイトルと内容のギャップに関する文句ばかり言ってしまいましたが、本書がもし経営者向きだと分かるタイトルを付けていたら内容は悪くないと感じました。

第一章ではビッグデータの基礎知識について細かく書かれており、IT分野に不慣れな人でもどうしてビッグデータが重要視されるのかということが分かるように書かれています。

第二章では、実際にビッグデータをどのように調理していくかの手順が書かれています。細かい処理内容にまで触れていないのは技術者ではなくあくまで経営者を意識していると考えれば悪くありません。

細かいことを書かないおかげで内容がすっきりしていて読みやすくなっています。

第三章では様々な図やグラフを使った分析方法が書かれており、プレゼンなどでグラフを見る機会が多い人にグラフの説明がされていてよいなと思いました。

もし文系人材が基本的なデータの見方を知っていたら理系人材も説明が楽になるので、この第三章は文系人材には絶対に読んでもらいたいと感じました。

第四章では実際にビッグデータを活用してみた事例が載っていて、経営者が自社でどのようにビッグデータを活用するか考えるための参考になります。

ちなみに本書のタイトルの『コンピュータにかわいいを学習させたら何が起きたか』についてはこの第四章でふれられています。

第五章はこれからデータ分析がますます重要になってくることが書かれており、本書の内容がこれからの経営で大切だという意見を改めて述べています。

何回も言って申し訳ないのですが、内容がいいだけにタイトルの付け方が本当に残念だと感じてしまいます。



まとめ


本書はタイトルは理系向けの技術書に見せかけて、実際は文系向きの経営本でした。

ビッグデータやAIなどに詳しい人は内容にがっかりすると思いますが、それらに対してチンプンカンプンという人には基本的な知識を身に着けるのには悪くない本だと思いました。

ビッグデータやAIについて興味はあるけど知識がないという方にはおすすめですのでぜひ読んでみてください。








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今回は、日本の長野県東御市のワイナリーの社長である蓮見よしあきさんが書いた『はじめてのワイナリー はすみファームの設計と計算』という本を紹介しています。



概要


本書は日本の長野県東御市のワイナリーの社長である蓮見よしあきさんが書かれた本です。

タイトルからワイナリーに行ってみたい人向けの本かと思われるかもしれませんが、実際の内容はまさかのワイナリーの経営について書かれている本です。

この本はワイナリーの一年間の過ごし方に経営者的な観点を入れている本ですので、ワイナリーに行ってみたいと考えている人にとってもワイナリーについて詳しく知ることができる良書となっております。

また、一番のターゲットはワイナリーをはじめてみたい人ですのでこれから独立してワイナリーをはじめようと考えている人は、経営戦略やどこにワイナリーを建てるかなどの参考になる情報が多々書かれています。


学べる事


本書からは以下のことを学ぶことができます。

  • 一年間のワイナリーのスケジュール
  • 日本のブドウでワインを作る理由
  • 6次産業とは何か?
  • ワイナリーの出資者を集める方法
  • ワイナリーを維持する方法
  • 最新のワイナリー事情

概要にも書いた通り消費者から経営者まで楽しめる内容となっています。






個人的な感想


日本ワインに対する印象の変化


本書を読むまで恥ずかしながら日本のワインって新世界の中でも他の国のワインと比べても少し格が落ちるなという印象がありました。

しかし、本書を読んだことにより日本のワインの印象が大きく変わりました。

まず、日本が国全体でワイン特区を増やしたりしてワインを作りやすくしているということが分かりました。

これまでワイン特区という言葉は聞いたことはあったものの私はその言葉の意味をしっかりとは理解できていませんでした。本書を読んだことでワイン特区って消費者が嬉しいものではなく、経営者にとって嬉しいものだということが分かったのは本当に良かったです。

現在一次産業の人口が減っていることで余った畑などをワインの生産に使えるようにしようとしていることが分かりました。

また、甲州を使った日本ワインは美味しいとは前から思っていたのですが、シャルドネなどのよく使われる品種は日本以外の方がいいのかなとか思っていいました。

しかし、それらの品種に対しても丁寧な仕事をしているのが伝わってきたため日本産のワインを飲む機会を増やしたいと思いました。

国全体でワインを日本の経済の一角にしようと努力していることが分かり良かったです。


ワイナリーに対する情熱


本書を読んで何か自分が情熱をもって叶えたい人は素敵だなということを改めて認識しました。

著者である蓮見よしあきさんがどれほどワインを愛しているのかということが本書を読んでいて本当に伝わってきました。

蓮見よしあきさんの一日のスケジュールを見ているとほとんどの時間がワインを作るために使われていて、自由時間がほとんどないことに驚かされました。

ブドウの収穫からワインの出荷まで行う第六次産業は本当に大変で、ワインに対する愛がないとできない仕事だということが分かります。

私はワイナリー経営をはじめたいと思うほどのワインマニアではないのですが、山梨にある奥野田葡萄酒酒造の栽培クラブの運営などに参加してみて、自分もワインについてさらに詳しくなりたいとおもいました。


ワイナリーに行ってみたい


以前からワイナリーに行ってみたいなとは思っていたものの、なかなか行く機会がなく未だに行けていませんでした。

ただ本書を読んだことで再びワイナリーに行ってみたいという気持ちが再燃しました。

せっかく本書を読んだのではすみファームに足を運んでみたいと想いはあるものの、いきなり遠くの場所だとハードルがあがるため近場のワイナリーから行ってみようと思います。

一年のスケジュールを見ていると何月に行こうか悩みますが、まずは収穫時期の9月や10月に行ってみようかな。

ワイナリーに行く以外にも、はすみファームのワインやその他の日本ワインをオンライン購入して色々と味わってみたいと思いました。



まとめ


本書はワイナリーの経営に関するノウハウがコンパクトにまとめられていました。

消費者として読んでも面白かったのでワイン好きの方はぜひ読んでみてください。







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今回は、日経デザイン編の『アップルのデザイン戦略 カリスマなき後も「愛される理由」』という本を紹介しています。



概要


本書は、アップルのハードウェアや箱などのデザインについて専門家による分析が書かれた本です。

デザイン分析の対象としている機種は、以下の7種類です。

  • iPhone5
  • iPod touch
  • iPad mini
  • iPod touch 16GB
  • iPhone5c
  • iPhone5s
  • Mac Pro

同世代の廉価版などを対象としていて、なかなか面白いラインナップとなっています。

本書の分析ではハードウェアの外装を分析するのはもちろんのこと、内部の回路設計についても言及されているためデザイナーからハードウェア設計者までの幅広いひとが楽しめるような作りになっています。

また、本書の後半ではSonyやSamsungといった他のメーカーが発売しているスマホやパソコンとアップルが販売している商品の比較も行われています。



学べる事

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  • アップルのハードウェアのデザインが優れている部分について
  • アップルの細部までのデザインのこだわり
  • デザインと生産性の関係について




読者対象


  • ハードウェアなどの物理的な商品を専門としているデザイナー
  • ハードウェア設計者
  • 加工技術に興味がある人
  • アップルのデザインのこだわりに興味がある人
  • デザインと価格を分析する企画関係の人




個人的な感想


私はソフトウエア技術者でハードウエアやデザインのことは詳しくありませんが、本書は文章だけではなく商品の写真などが多く乗っているため読んでいて楽しかったです。

ただ、専門的な用語がけっこうたくさんでてきたため、ハードウェアや加工技術に詳しくない場合言葉の意味などを調べるのが結構大変かもしれないとも感じました。

本書ではアップルの主にiPhone5の前後に発売された商品を分解していき、デザインについて語られていました。

他のアップルのデザインについて書かれている本は、ハードウェアの外側やソフトウエアのデザインについて言及している本が多いため、本書のように内部の基盤の回路に関するデザインなどについて語られている本はなかなか新しい気がします。

また、消費者としては廉価版は安く買うことができてラッキーぐらいにしか思っていませんでしたが、専門家による廉価版としてデザイン的に値段を抑えている部分の解説などはなるほどなという感じで勉強になりました。

メモリやCPUで値段を抑えていると思っていたのですが、細かい素材とかでも値段を抑えていたんですね。


ハードウェアの他にもパッケージの箱の作り方についての解説なんかが書かれていたのも面白かったです。

製品本体だけではなく箱の細部のデザインまでこだわっているということが分かり、アップルのデザインに対するこだわりの強さを改めて実感することができました。



まとめ


本書はアップルの製品の外部の消費者が見ることができる部分のデザインと内部の消費者には見えない部分のデザインについて細かく分析されている本でした。

アップルのデザインのこだわりについて知りたい方はぜひ読んでみてください。




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