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スコット・バークン氏の『マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた』を読みました。

本書は、スコット・バークンがマイクロソフトを辞めてAutomattic(オートマチック)で働いた経験が書かれています。

本記事ではその中から、日本でも新型コロナの影響で注目されることになったリモートワークのメリットとデメリットに焦点をあてて本書の内容をまとめていきます。



リモートワークのメリット


元々マイクロソフトで働いていたスコット・バークンは、2011年にAutomatticに入社して初めてリモートワークを行うことになった。

リモートワークを実際に行ってみてスコット・バークンが感じたメリットをまとめていきます。


勤務先に制約がないこと


同じ部屋で働くことになれている会社員は、勤務先に制約がないことの何がメリットなのかと感じるかもしれません。

勤務先に制約がないということは世界のどこにいても共に働くことができるということです。

つまり、これを言い換えると世界最高の人材を移住地に関係なく雇うことができるということなのです。

日本の多くの会社は、東京にある会社なら関東圏内に住める人を探したりしますが、その場合関東圏に住むことができない優秀な人材を雇うことができなくなります。

しかし、リモートワークを当たり前のようにすることで世界中の優秀な人材を雇うことができるようになります。


働く側も、家族に無理な引っ越しを強要することなく自分が働きたい会社で働くことができます。


仕事に対して厳密な評価が行える


日本の古い体制の会社は、残業時間が長い人の方がしっかりと働いているなど間違った人事評価を行いがちです。

リモートワークを行っているAutomatticではブロガーがワードプレス・ドットコムに連絡してきた問題対処(以後チケット処理とする)の統計で成績を管理していました。

チケット処理の時間を統計で管理することにより、どの社員が短い時間で多くのチケットをさばいているのかが分かり、厳密に各社員の評価が行えました。

つまり、厳密な成績で社員の評価を行うことで働いているふりをしていた人間を排除することができるのです。

成績の良い社員に正当な評価が行えるようになり、これは雇用主にとっても労働者にとっても両方にwin-winです。


直接話せないことで無駄な時間が短くなる


プログラミングの途中などで誰かに直接質問などをされると作業を中断し質問に答えるために時間を使うことになります。

いざ会話が終わり作業を再開すると途中まで行っていた作業の内容を忘れるなどしてどうしても仕事の効率が落ちてしまいます。

リモートワークを行っている場合、直接質問されることはなく、質問はskypeなどのチャットソフトを経由してとどきます。

多くの人はチャットソフトで行う質問ですぐに答えが返ってくることは期待していないため、回答者は自分の回答したいタイミングで答えることができるので作業の邪魔になりません。

もちろんこういった直接会話ができないことにはデメリットも存在します。

デメリットは後程語っていきます。



リモートワークのデメリット


チャットが原因で会話が長引く


先ほどチャットシステムを使うことのメリットを上げましたがデメリットもあります。

チャットは基本的に文字ベースで話すため、表情などから相手の意図を読み取れないという問題があります。

スコット・バークンは直接話したら数分で終わる内容をチャットが原因で何時間もかかったと語っています。

リモート環境でコミュニケーションをとるための手段として最も行いやすいのがチャットですが、ときと場合に応じて電話会議やテレビ会議を行い少しでも無駄な時間を減らすことが大切です。


リモートワークは待ち時間が発生する


プロジェクトを開始したばかりの時期などは、チームのメンバーで分からないことを聞きあいたいことが多くなります。

そういう場合にリモートワークを行っているとレスポンスに時間がかかり、無駄な待ち時間が増えます

この問題に対してAutomatticでは、たまに世界各地に住むチームのメンバーを集めて会合を行うことで対策をしていました。

会合の場所は、アテネ、ハワイ、ニューヨークなど様々です。

たまには直接集まることで、仕事が効率よく進むほか、チームの団結力が深まったりするなどのメリットもあります。



最後に


リモートワークには様々なメリットとデメリットがありますが個人的にはメリットの方が大きいかなと本書を通して感じました。

最後になりますが、スコット・バークンはリモートワークでもっとも重要なことは信頼であると語っています。

上司、部下関係なくどこで働いていてもきちんと仕事をこなすという信頼さえあればすぐにリモートワークは行えます。

リモートワークに不安がある方も多いかもしれませんが、この社会情勢を利用してみてリモートワークをはじめてみてください。