としおの読書生活

田舎に住む社会人の読書記録を綴ります。 主に小説や新書の内容紹介と感想を書きます。 読書の他にもワイン、紅茶、パソコン関係などの趣味を詰め込んだブログにしたいです。

タグ:乾くるみ

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乾くるみさんのジグソーパズル48を読みました。

タイトルのようにジグソーパズルみたいに読み進めていくたびに謎が解けているようで面白かったです。

本作は私立曙女子高等学院を舞台とした短編小説で、本書のタイトルから短編のタイトルまで全てがAKB48の曲名というなかなか斬新な作品でした。

登場人物もAKBのメンバーのアナグラムになっておりAKBファンなら楽しんで読めるかなという作品でした。

以下、あらすじと感想になります。



あらすじ


私立曙女子高等学院には、問題児と優秀な生徒たちばかりを集めるクラス通称マルキューが存在する。

ある日、家が貧乏でゴスロリショップでアルバイトしていたことがばれた問題児?である小和田七緒がマルキューに移動してきた。

彼女の家庭の事情を知ったマルキューのメンバーは彼女が高校の特待生資格を取れるように勉強を教えることとなった。

試験後無事特待生となれた小和田七緒だったがその結果にはマルキューメンバーの密かな策略が実行されていた…。

このほか、いきなりデスゲームが始まる「ラッキーセブン」、

いちごの盗難事件が発生した「GIVE ME FIVE」、

自分が住んでいるアパートで起きた殺人事件を解き明かす「三つの涙」、

スマホを盗んだ半にを見つけ出す「女の子の第六感」、

背後から人を殴った犯人を突き止める「偶然の十字路」、

友のために協力する女子高生を描く「ハチの巣ダンス」の六篇を収録。



感想(ネタバレあり)



ラッキーセブン


こちらは乾くるみさんが出している『セブン』にも収録されている作品です。

久しぶりに読んだのですが、主人公の鹿島田春とともにデスゲームに挑んでいるような気持ちになれてハラハラして面白いですね。

おそらくボードゲームや人狼とかが好きな人は相手の裏の行動を考えながらゲームすることが多いと思うので、田春とともに相手の裏を考えていた人が多い気がします。

個人的には千織との戦いが最終局面感があって一番好きです。

短編ということもありますが、本作のデスゲームを起こした眉子はなかなかぶっ飛んでますよね。

悪魔に頼りまくった結果自分の寿命が短いのをいいことにデスゲームを始めるとは…。



GIVE ME FIVE


事件自体は苺を盗んだ犯人を捜すという可愛らしいものでしたが女性の嫉妬の恐ろしさを感じさせられる作品でした。

事件が起きたと伝えに来た縄取が犯人だというのは予想できなかったので、犯人が分かったときは裏をかかれたなという気持ちになりました。

犯人が相手をだますために事件を起こすなんてよくありそうな展開な気もしますが、いちごを盗むという可愛い事件が原因で真相を突き止められなかった気がします(笑)





三つの涙


個人的には今回の短編の中で一番好きな作品でした。

オチの恐ろしさに乾くるみらしさを感じることができました。

三つの涙は悲しみの涙、嬉し涙、悔し涙だよと聞いた直後に母親が殺人犯だと分かり、三つ目の涙は悔し涙ではなく恐怖の涙だというオチにぞっとしました。

イニシエーション・ラブとか好きな人にはこの作品は絶対に読んでもらいたいと思いました。



女の子の第六感


中った(あたった)をなかったと読んだことが原因で発生した事件の真相を解いていく物語でした。

一休さんのようなとんちがきいたような話で笑えました。

ただ、女子高だけどジェンダー問題を意識した準制服の設定をもう少し生かしてほしかったです。

せっかく主人公が準制服着てるのに意味ないやんという感じでもったいなく感じました。



マルキュー


女子高生が貧乏生徒のために勉強を教えてあげるという良い物語だと思いましたが、オチでやられてしまいました。

まさか勉強を教えて成績を上げようとしたのではなく、別の生徒が七緒の名前で答案を提出していたとは…。

でも確かにこの不正方法は賢いなと思いました。

答案用紙を後ろから集めるような学校だと名前を入れ替えて書いていたとしても気が付かないような…。

学生には知ってほしくない不正テクニックですね。



偶然の十字路


被害者の右音がずっとトイレから戻った後に被害にあったということでみんなのトイレに行く時間をもとに事件を解こうとしたが検討違いだったというオチでした。

実際、殴られて無意識の状態で漏らしたとしても後片付けされたら漏らしたことを覚えてないのかな?

記憶が混濁しているとはいえどうなのかが気になりました。



ハチの巣ダンス


生徒たちの友情を描いた作品ということでマルキューと内容が被っておりジグソーパズル48の最後をしめる短編としては個人的には微妙かなという印象の作品でした。

みんなで悪い男からスマホを取り戻そうぜというところまではまだよかったのですが、最後千草と虹華が双子だったというオチはいらなかった気がした。

最後にパズルのような箪笥を開けていく設定なのは本書のタイトルともあっていて良かったと感じただけに残念でした。



まとめ


ジグソーパズル48は全体としてみたら面白い作品もありよかったのですが、乾くるみさんの作品だと考えると少し物足りない印象が残りました。

リピートやイニシエーション・ラブが好きな自分としてはタロットシリーズ的な作風を本作にも求めてしまいました。

パズル的な要素が好きな人にはおすすめですのでぜひ読んでみてください。






乾くるみさんの代表作といえば2015年に映画化した『イニシエーションラブ』のイメージが強いと思いますが、それ以外にもおすすめの作品はたくさんあります。

今回は『イニシエーションラブ』以外の乾くるみさんのおすすめ小説を紹介していきます。

乾くるみさんの作品にはミステリー小説が多くどれも面白い作品となっているので、参考にしていただければ幸いです。





1.リピート

もし、現在の記憶を持ったまま十ヵ月前の自分に戻れるとしたら?この夢のような「リピート」に誘われ、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げて…。

2018年にドラマ化しており、すでにドラマを見た人でもドラマとは少し違った内容で楽しめます。

ミステリー小説としてもSF小説としても楽しめる作品でよくあるタイムトラベル作品とは違った楽しみ方ができます。

衝撃の結末に一度読み終わった後必ずもう一度読みなおしたくなるだろう。





2. セカンド・ラブ

1983年元旦、僕は、会社の先輩から誘われたスキー旅行で、春香と出会った。やがて付き合い始めた僕たちはとても幸せだった。春香とそっくりな女、美奈子が現れるまでは…。清楚な春香と大胆な美奈子、対照的な二人の間で揺れる心。

イニシエーションラブに続く乾くるみさんの恋愛ミステリー小説。イニシエーションラブを読んだことがある人なら絶対にはまります。

最後まで乾くるみさんに騙され続けられるのかそれとも真実を見つけることができるのか、謎解きが楽しめるミステリー小説です。





3. クラリネット症候群

ドレミ…の音が聞こえない?巨乳で童顔、憧れの先輩であるエリちゃんの前でクラリネットが壊れた直後から、僕の耳はおかしくなった。しかも怪事件に巻き込まれ……。僕とエリちゃんの恋、そして事件の行方は?
マリオネット症候群とクラリネット症候群の二編の中編からなっている作品です。

両方の作品に "症候群" という言葉がついていてタイトル通りその不可解な症候群が物語の鍵になっています。

真剣な場面の中に笑いもありのんびりと読める作品となっています。





4. スリープ

テレビ番組の人気リポーター・羽鳥亜里沙は、中学卒業を間近にした二月、冷凍睡眠装置の研究をする“未来科学研究所”を取材するために、つくば市に向かうことになった。撮影の休憩中に、ふと悪戯心から立ち入り禁止の地下五階に迷い込んだ亜里沙は、見てはいけないものを見てしまうのだが。
乾くるみさんの作品の中で最もSF要素が強い作品です。

物語の舞台が30年後の未来ということで現実に近いリアルな近未来を描いている。SF要素とミステリー要素がきれいにマッチしており非常に面白い作品です。

物語の中に仕組まれた数々のしかけに気づくことができるだろうか。





5. セブン

一見シンプルなトランプの数当てゲームが、生死をかけた心理バトルへと変貌する「ラッキーセブン」ほか、時間を何度もワープする男の話――「TLP49」、超ショートショート――「一男去って……」、戦場で捕らえられた兵士の生き残り作戦とは――「ユニーク・ゲーム」などロジカルな企みに満ちた七つの物語。

タイトルがセブンということで本作は数字の7に関係のある7編の短編からできています。

どの物語も短編なのにしっかりと世界観やルールがねられており面白くなっています。

私は7つの短編のなかで木曜の女が一番好きです。オチを知る前と知った後で物語に対する意見が変わる作品でしょう。





最後に

ここまでご覧いただきありがとうございます。

映画化した『イニシエーションラブ』以外の作品も面白いのでぜひ読んでみてください。

みなさんの参考になれば幸いです。

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