冬野夜空さんの『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』を読みました。
話題通り王道の純愛ストーリーだったので内容も予測できてしまったのですが、最後まで読み終わったときは涙が止まりませんでした。
以下、あらすじと感想になります。
『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』のあらすじ
主人公は、クラスで目立たない男子高校生・天野晴彦。彼の趣味は、亡き父の影響で始めた写真を撮ることだ。
ある夏の日、雨の中の花火を撮りたいという意欲にかられて友人の塁と花火大会に行くことになった。
雨が降る花火大会の中、ビニール傘をさした浴衣姿の女性を見つける。
切なげに花火を見上げるその美しい姿に見とれて、思わずカメラを構えると、その女性の正体はクラスの人気者、天文部の綾部香織だった。
翌日の放課後、輝彦は香織に「君を、私の専属カメラマンに任命します!」と告げられる。
この一言が平穏だった輝彦の人生を変えることになった。自由奔放な香織につられて輝彦は様々な場所へと連れていかれる。
香織に振り回されることも悪くないと思い始めた輝彦は、ある日衝撃的な事実を知ることになる。
それは、香織は明るい笑顔の裏で重い病と闘っているということだった。
病だと知った後も本当の香織を撮ることを目標にシャッターを切り続ける輝彦。はたして彼は、本当の香織を写真に残すことができたのだろうか。
苦しくて、切なくて、でも人生で一番輝いていた夏の2カ月間。2人の想いが胸を締め付ける、究極の純愛ストーリー!
感想(ネタバレあり)
作品としては個人的にはかなり感動できてかなり好きな部類です。
ただ、王道恋愛小説ということもあり、どうしても似たような作品である『君の膵臓をたべたい』と比較してしまう作品でした。
以下の感想にはキミスイのネタバレも少し含まれています。
キミスイとの類似点をあげてみると少し考えただけでも以下の5点を思いつきました。
- 主人公の輝彦が地味な男子高校生
- ヒロインの香織が明るい性格で人気者だが重病で余名わずか
- 最後に二人で旅行に行く
- 輝彦が香織のことを「君」と呼ぶ
- 最後に日記で香織が輝彦にメッセージを残している
正直、読んでいる途中だともっと多く類似点が思いついていました。
逆にキミスイと違うところを軽く考えてみると以下の3点ぐらいしか思いつきませんでした。
- ヒロインの香織はキミスイとは違い病気で亡くなる
- 輝彦の友人が香織のことが好きだった
- 恋愛要素がキミスイより強い
正直、王道な物語だから多少内容が似るのは仕方がないのかもしれませんが、あまりにもそっくりすぎる気もしますね…。若者狙いで主人公が高校生だから類似するのは仕方がないのでしょうが…。
ここまで悪い感想ばかり上げてしまっていますが、『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』でいいなと思うところもたくさんありました。
まず先ほどもあげたのですが、キミスイより恋愛要素が強いです。
それゆえに、輝彦が香織の願いを叶えようと努力している姿が描かれており、恋愛系がバリバリ好きという人にはこちらの作品の方が好みかもしれません。
二つ目は、輝彦が香織が生きることができないと知ったときに、彼女の最高の瞬間を遺影として残そうという考え方が面白かったです。
遺影というと真面目そうな顔写真や笑顔の作品が多い気がしますが、美しい瞬間を遺影として残すというのがいい考え方だなと思いました。
たしかに私も自分が死ぬことになるとしったら、無理して笑っている姿を残されるよりも、自分の最高の姿を写真で残してほしいですね。
作品のテーマ通り、星の一瞬のきらめきと人生の一瞬のきらめきをかけているのもよかったです。
まとめ
『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』は一生懸命生きる人の美しさを描いている作品でした。
本作は、キミスイとの類似点も多いのですが、王道恋愛小説としてオリジナルな要素もあり面白かったので未読の方はぜひ読んでみてください。
展開が予想できたとしても最後まで読んでほしい作品でした。