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今回は北川恵海さんの『ちょっと今から仕事やめてくる』を紹介します。

『ちょっと今から仕事やめてくる』は、第21回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞作であり、小説の人気から映画化、漫画化など様々なメディアで扱われている作品となっております。



【目次】
あらすじ
感想




あらすじ


ブラック企業で働く青山隆は、仕事の疲れのあまり無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。

その日を境に、小学校の同級生であるというヤマモトと関わるようになった隆はしだいにヤマモトに心を開くようになり、ヤマモトと親しくなるにつれ隆の仕事も上手くいくようになる。

仕事が好調に進むようになったある日、小学校の同級生から本物の山本は現在海外で過ごしていると教えられる。ヤマモトに疑念を抱くようになった。ヤマモトについて調べるとあるニュースが隆の目にとまる…。

はたしてヤマモトは何者なのだろうか?


感想


ブラック企業と人間関係


本作のテーマはブラック企業人間関係であると思う。

ブラック企業またはそれに近しい企業で働いている人や人間関係に困っている人であるならば絶対に読んでほしい作品となっています。

主人公である隆が働いている会社はいわゆるブラック企業です。ブラック企業であることを強調するために物語の冒頭でその会社では、成績が上がらなければ上司にどやされ、サービス残業が当たり前と書かれています。

こんな状況で働いていればよほどのメンタルを持っていない限り誰であろうと病んでしまいそうです。無意識に電車に飛び込もうとしたというのも大げさな表現ではないのかもしれません。

しかし電車に飛び込もうとした隆にはヤマモトという救世主が現れ、ヤマモトとのつながりができたことで隆は次第に変化していき生活が充実してくる。新しい人間関係ができたことで隆は救われました。

しかし、本作での人間関係とはヤマモトとの関係のようないいものだけではない。社内での人間関係が原因で隆が苦境に立たされる場面もあります。

本作を読むことでブラック企業ってどうしてブラック企業であるのかということと人間関係の重要性について考えなおしてほしいです。


ヤマモトの魅力


隆の小学校の同級生であると名乗るヤマモトは本作においてすごく魅力的な人物です。

ヤマモトの魅力の一つとして何者か分からない不思議さがあると思います。しかし、ただ不思議なだけであればここまで魅力を感じることはない。ヤマモトには神秘性以外にもさりげない優しさがあるという魅力がある。

この二つの魅力が合わさることでヤマモトという人物の素晴らしさが引き立てられるのでしょう。

本作を読んでいると自分にもヤマモトのような友人がほしいと思うようになる。(神秘性を持っている友人がいる人はなかなかいないだろうが(笑))

全体としての感想


本作は本当に素晴らしい作品となっており、隆もヤマモトもどちらもかっこいいと感じさせられます。

物語の終わりで隆は、きっぱりとブラック企業をやめますがそこでの隆の台詞は素晴らしいものです。上司などにブラック企業で働いていて現在幸せであるか問う場面は感動させられます。

現在国内にブラック企業は多数あります。日本の独特の文化がブラック企業を許しているという現状もありますが、もしブラック企業で働いている方が本作を読んだのであれば会社のあり方や働くとはどういうことなのか改めて考え直してほしいです。

隆のように上司にいきなりきっぱり言うのは難しいかもしれませんしれませんが身近な人間の意識を少しずつ変化させることは可能でしょう。ブラック企業は間違っているという意識が少しずつでも社内で伝染していけばいつかはブラック企業ではなくなるのではないのでしょうか。