喜多喜久さんの『ビギナーズ・ラボ』を読みました。
本書は研究者ってかっこいいなと感じさせられる本でした。
以下、あらすじと感想を書いていきます。
『ビギナーズ・ラボ』のあらすじ
主人公は旭日製薬で総務として働く水田恵輔。
休日に祖父がいる老人ホームに訪れた際、千夏に出会い恋に落ちる。しかし、彼女は治療薬が存在しない難病、「ラルフ病」に侵されていた。
恵輔は千夏を救いたい一心で、創薬素人でありながら、ラルフ病の治療薬を開発するという無謀な挑戦を始める。
恵輔はラルフ病の治療薬を完成させることができるのか…。
感想(ネタバレあり)
『ビギナーズ・ラボ』を読んで主人公である恵輔の好きな人を救うためにラルフ病の治療薬を作りたいという想いに感動させられました。
老人ホームで出会った千夏に恋をしたことをきっけに、今までと全く違う仕事である創薬に挑戦しようという志がすごくかっこよかったです。
普通の人なら誰かが作ってくれるだろうと考えて、自分で創薬すればいいなんでいう考えが出てこないんだろうな。
もちろん恵輔のようにやる気を持っているだけで成功する可能性があるかどうかは分かりませんが、誰かのために何かを作りたいという強い意志を持って仕事をすることってすごく大切だと感じました。
また、やる気を維持するためにはそのものを作ることで誰が喜ぶかという、喜ぶ対象を具体的に考えることも大切であると学びました。
本書を参考に私もお金のために機械的に仕事をするのではなく、自分の仕事をすることで誰かの役に立つということを意識しながら働いていきたいです。
本書を読むことで製薬の現場がどんな感じなのかを知ることができたのも良かったです(製薬現場の人からしたら全然違うよという意見もあるかもしれないが…)。
また、『ビギナーズラボ』をとおして会社で研究を行うということは慈善事業ではないということを改めて理解しました。
創薬も費用が掛からず慈善事業で行うことができるのなら、患者数が少ない病気に対する治療薬を開発する会社も増えるのかもしれません。
しかし、会社として生きていくためには儲けることが大切なので糖尿病のような患者数が多い病気の治療薬を優先して開発していくことが大切なんだろうな。
企業の研究者として生きている人たちはこういったジレンマにとらわれてすごく大変そうですね。
ただ、近年は希少疾患に関する薬を作ることで儲かるような仕組みもできているみたいなので以前よりもましなのかな(希少疾患の治療薬は高価なので患者側に負担がかかるという欠点はあるが…)。
最後に
現在、新型コロナウイルスが世界中で流行っているが、製薬現場の人たちは少しでも早く治療薬を完成させるために『ビギナーズ・ラボ』に出てきたような苦労をしているのだろう。
そんな今だからこそぜひ製薬現場の苦労を知ることができる本書をぜひ読んでもらいたいです。