DSC_3748


今更ながら10年ほど前に話題になった「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(もしドラ)を読みました。

小説の内容としては青春小説なんですが、この本の特徴は野球部のマネージャーである主人公みなみがドラッカーの『マネジメント』を参考に野球部を成長させるというところです。おもしろかったので、ないようを簡単にまとめてみました。


マネジメントには顧客が必要


ドラッカーはマネジメントの最初の仕事は「組織の定義付け」であると言っています。そして、組織を定義付けするために必要なものは顧客です。経営を始めるには顧客を満足させることを考えなければなりません。

みなみは野球部も組織ということに気が付き、定義付けをするにあたり「顧客は誰か」ということで悩みます。

読みながら私も顧客は誰か考えていると、応援してくれる親や観客だと思いました。

しかし、これは顧客の一部でしかありません。野球部が活動をするにあたり保護者の支援なども必要なのですが、それ以上に必要なのは野球を行う野球部員たちでした。

私は、野球部員は従業員だと考えていたのですがそもそも活動する人間がいなければ組織は成り立たないため、野球部員は従業員であり顧客であるのです。


顧客が求めるものとは


顧客が保護者、高校野球ファン、野球部員たちと定義付けできたみなみは次に、これらの顧客が求めるものは何であるのかを考えます。

みなみは顧客が求めるものは、高校野球とは切り離すことができない「感動」であると定義付けます。

確かに、毎年高校球児が甲子園などで野球をしていると多くの感動が生まれますね。

顧客が求めるものを定義付けできたことで野球部の事業は、顧客に感動を与えることだと決まります。


マーケティングとは


野球部の目指すべき姿が決まったところでみなみはマーケティングを開始します。

しかし、マーケティングをし始めるとある問題が発生します。それは、部員が求める「感動」は一人ひとり違うということです。

そこでみなみは部員一人一人と面談を行うことで部員が野球部に求めていることを正確に分析しようとします。

面接の結果、自分の実力を試すために野球をしている部員、子どもから野球をしているからなんとなく続けているだけの部員がいるなど部員によって色々な目的があることが分かりました。

顧客一人一人が何を求めているのかを知るのがマーケティングなんですね。



仕事には働きがいが必要


部員たちを分析したみなみは、生産性を向上させるために各部員に働きがいを与えます。

働きがいを与えるには、責任を持たせる必要があります。そのためには、①生産的な仕事、②フィードバック情報、③継続学習の3つの要素が不可欠です。

①生産的な仕事として新練習方法を提案して部員の士気を向上させます。

②フィードバック情報では、部員たちにランニングのタイムをメモさせたりして自己管理を行わせます。

③継続学習では、①と②を続けさせることで効果を実感させようとします。


マネージャーは専門家の通訳になれ


専門家は、知識が豊富であるからこそ専門用語などを使ってしまい従業員たちとすれ違いがおきます。これを防ぐために、マネージャーは専門家の意思を分かりやすい言葉に変更して従業員に伝える必要があります。

この物語での専門家は野球部の監督です。

みなみの野球部では、監督の意図が部員たちに伝わらず、監督と部員との間で壁が発生していました。そこでみなみは野球部のマネージャーの一人を専門かと部員との間の通訳として挟むことで意思疎通を図ろうとします。

この考えは成功して、今まで上手に活用できなかった監督の知識が部員に伝わることで、野球部はどんどん実力をつけていくことに成功しました。


従業員の強みを生かすマネジメント


従業員は人によって得意なことが異なるので、これらの強みをどう生かすかがマネージャーの腕の見せ所です。

野球部の場合、バッティングが得意な部員、守備が得意な部員、足が速い部員などで部員の得意分野を分けることができます。

各部員の強みを生かせるポジションに着かせることで、野球部の生産性はさらなる向上をみせました。


イノベーションをおこせ


新しくできた企業は、最初のうちは既存の同種の企業と同じことをしていても伸びるかもしれませんが、他の企業を越えるにはイノベーションをおこして、改革を起こす必要があります。

みなみは監督と相談して高校野球で陳腐化したものは何かを考えていると、「送りバント」と「ボール球を打たせる投球術」の2つが上がりました。

そこでみなみたちは、この2つをしない「ノーバント・ノーボール作戦」を生み出します。言葉通り、送りバントとボール球に手を出さない、ボール球を投げないという作戦です。

この作戦で従来の野球の常識を捨てて強豪校に立ち向かいます。


人事問題に取り組む


成果中心の精神を高く維持するには、成果に伴い昇進、昇給させるなどして人事に関わる意思決定をすることが重要です。

みなみは、プレイに集中したいキャプテンをキャプテンの任から降りてもらい、他の人をキャプテンとして選んだり、実力に伴う人間をレギュラーとして選出することで部員の精神を高く維持しました。

またレギュラー入りした部員の手当てをするだけではなく、レギュラー落ちした部員にもどうしてその立場に移動したのかしっかりと説明することでやる気を下げないように考慮しました。




成果こそすべての活動の目的である


仕事を行う上で過程も重要ですが、結局は成果がでないことには意味がありません。成果よりも努力を重視してしまうと、従業員は仕事のための仕事をしてしまうことになります。

そのため組織は成果のために働くことが重要です

みなみたち野球部も今まで努力を続けてきましたが、結局は大会に勝たなければ成果を出したとは言えません。


マネージャーは真摯であれ


マネージャーは従業員を管理する能力や、知識の豊富さなどが重要であると考えられがちですが、それらは後かでも学ぶことができます。

そのためドラッカーはマネージャーに最も必要なのは真摯さだと言っています。

マネージャーにとって何が正しいかだけを考えて、誰が正しいかを考えない、部下に対する真摯さが重要です。

みなみは本書を通して決して人を好き嫌いで否定することなく、正しいことだけを評価する真摯さを見せつけました。


最後に


「もしドラ」はドラッカーの『マネジメント』をどう生かしていくかが、弱小野球部で甲子園を目指すという具体例をあげて非常に分かりやすく説明している作品でした。

これから経営や会社で働くうえでマネジメントの知識を有効に生かしたいと考えている人には「本書」はうってつけの入門書だと思うのでぜひ読んでみてください。

また小説としてもありきたりな王道展開ではありますが、そういうのが好きな人は感動できる作品だと思うのでおすすめです。みなみたち野球部が大会を勝ち進み甲子園に出場で来たか気になる人は、ぜひ本書を読んでみてください。