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今回は石黒浩さんの『ロボットとは何か』を読んだので紹介します。

この本は自分そっくりのアンドロイドであるジェミノイドやマツコさんそっくりのロボットであるマツコロイドを用いて研究を行っている大阪大学の教授である石黒浩先生が書いたものです。

アンドロイドやロボットに関心のある方におすすめの本となっております。



【目次】
内容
感想




『ロボットとは何か』の内容


本書は以下のような構成になっております。
  1. なぜ人間型ロボットを作るのか
  2. 人間とロボットの基本問題
  3. 子供と女性のアンドロイド
  4. 自分のアンドロイドを作る
  5. ジェミノイドに人々はどう反応し、適応したか
  6. 「ロボット演劇」
  7. ロボットと情動
  8. 発達するロボットと生体の原理
  9. ロボットと人間の未来

第一章第二章では、どうして石黒先生が人間型のロボットであるアンドロイドを作るのかが語られております。一般の人だとロボットを作る目的は日常生活を豊かにしたいという人が多いと思いますが石黒先生は違います。

石黒先生が人型のロボットを作るのは、人間のロボットを作ることで人間についてさらに詳しく知りたいからだそうです。そのため石黒先生はロボットを作る際に人間そっくりの外見のものを作るということにこだわりがあります。

第三章では、自分の娘そっくりのロボットと藤井彩子アナウンサーそっくりのロボットを作ったことについて書かれています。それぞれのロボットを用いた実験の様子や結果、また実験から得た石黒先生の考察が詳しく書かれており面白い章となっております。

男性は、ロボットであったとしても女性のロボットと話すときは緊張するみたいです。ロボット相手に緊張するなんて不思議ですよね。

第四章第五章では、石黒先生そっくりのロボットであるジェミノイドについて解説されています。石黒先生は、自分そっくりのロボットが存在した場合どのような感覚におちいるかを自分を利用して実験しました。またジェミノイドと自分の学生を喋らせる実験を通して学生が石黒先生と喋っている気持ちになるという結果を得ることができた。

第六章第七章では、ロボットの心について言及されている。「ロボット演劇」では人間ではないロボットの役者であったとしても人間の心を動かすことができることを証明しました。

第八章では今後どのようなロボットを作っていくかについて語られている。石黒先生が今後作りたいと思っているロボットは機械学習などを利用して人間のように徐々に成長していくものだ。実際に歩くことを学習させるロボットなど少しずつであるが実装にうつしているみたいだ。

第九章では今後ロボットが発達した場合人間とどういう関係を築いていくのかについての考察がのっている。ロボットに人権は必要であるのか、人間がロボット従うのかそれともロボットが人間に従うのかなどの興味がそそられる内容がのっている。



感想


本書は日本のロボット工学の権威によって書かれているため今後のロボットの発展にかかわることが分かりやすく書かれており、ロボットについて知らない人でも読みやすいような構成になっていた。

また石黒先生は、一般の人と違いとびぬけた発想を持っているため天才の考えを共有することができる本書は非常に勉強になった。

ロボットに心が宿っているのかという問題は非常に興味深い話題であるので、私もロボット演劇を見てロボットに自分は心を動かされるのか試してみたい。ロボット演劇の演出は平田オリザさんが行っているらしく内容も非常に面白いものになっているのだろう。

ロボットに興味がある人には絶対に読んでほしい一冊になっている。ロボットに興味がない人でも今後の社会の変化を考えるうえで一度は読んでもらいたい。